豊島事件と産廃問題

No.20 最終処分場は本当に不足しているか? 〜永遠の3年説〜    2003・1・6

 1年間に排出される産廃は4億トン・一般廃棄物は5000万トン、そのうち最終処分されるのは6000万トン〜1億トンです。

  最終処分場は3種類あります。

@無害なもの(安定5品目)をそのまま処分する安定型、
A遮水こうを作り、ゴムシートをかぶせる管理型、
B耐用年数70年のコンクリートで作る遮断型処分場の3種類です。

 産廃処分場の残余年数は全国で3.7年、首都圏で1.2年(2000年4月現在)。新設される処分場は20ヶ所くらい。産廃処分場の逼迫が産廃処理料金の上昇をまねき、これらがサーマル・リサイクルや廃棄物発電、建築廃材を使ったバイオマス推進につながっているといわれていますが、本当に逼迫しているのでしょうか?

  最終処分場の残余年数があと3年くらいというのは5年以上前から毎年毎年、聞かされている話です。本当にあと3年なら、いまはゼロになっているはずですが、今年もまだ3年くらいという統計が出るのでしょう。化石燃料の可採年数と同じです。

  処理業者側の立場にたつと、自分の持つ処分場の容量が少なくなったら@処分場を新設するか、A受入量を減らすしかありません。処分場の新設は難しい、そうなると受入量を減らすしかありませんが、同じ価格で受入量を減らしては売り上げが減少するだけですから、単価を上げるしかないということになります。

 排出事業者側からみて最終処分価格が高くなると、@可能な限りリサイクルして埋立処分量をへらす、A不透明な安い業者に依頼する(=不法投棄につながるおそれあり)の選択肢しかありません。@が望ましいのですが、マテリアルリサイクルはかえって高くなるおそれがあります。

 そこで出てきたのがサーマルリサイクル推進ではないでしょうか。捨ててしまうのはもったいないからエネルギー源として利用する−という精神はいいのですが、サーマルリサイクルはマテリアルリサイクルを駆逐してしまうおそれがあると思います。

  2002年6月に成立した自動車リサイクル法ではサーマルリサイクルとマテリアルリサイクルの両方をリサイクルとして定義しています。シュレッダーダストを管理型処分場で埋め立て処分するには費用がかさばる。かといって75〜80%がすでにリサイクル・リユースされている使用済み自動車のマテリアルリサイクル率をこれ以上あげるのは大変。

 かといって、サーマルリサイクルを推進して、その分をリサイクル率にカウントするのでは発生抑制(リデュース)という大原則はないがしろにされてしまいます。

 自動車工業会の研究結果(以下のサイト)では無機残さが4〜5%、集塵ダスト1%で残り95%は有価金属、乾留ガス、カーボン原料、合金くず、可燃性ガス、溶融スラグとしてリサイクル可能となっています。 http://www.jama.or.jp/lib/jamareport/081/81_6.html  リデュースが大原則です。車に依存しない社会が望ましいのですが、使用済み自動車はなできるだけマテリアルリサイクルすべきで、最終処分場の逼迫を口実にむやみにサーマルリサイクルを推進すべきではないと思います。

 

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