豊島事件と産廃問題

No.38 一般廃棄物と産業廃棄物の区分はやめるべし! 2004・7・6

 ゴミの分別も面倒ですが、一般廃棄物と産業廃棄物の分別も面倒です。

  廃棄物処理法第2条第4項に「産業廃棄物」の定義が限定列記されています。
そして 第2項に「一般廃棄物の定義」(産業廃棄物以外のものだそうです)が書いてあります。

  じゃ、誰が処理をするかについては、第6条の2に「市町村が一般廃棄物の収集、運搬、処分をしなければならない」と書いてあります。
一方、第11条には「事業者が産業廃棄物を処理しなければならない」と排出者の 責任が書いてあります。

 「一般廃棄物だと税金で処理してあげるけど、産業廃棄物は自分で処理しなさい」と いうことですから、悪知恵が働く輩だと、「一般廃棄物に含めてもらえそうなら、なん とか一般廃棄物に入れてしまえ」と考えてしまいますよね。

 実際事務所から出るゴミだ と一般廃棄物として税金で処理してもらえるのですから。 これまでも何度か書いてきましたが(しつこい?)、一般廃棄物と産業廃棄物のに分 けてしまうという現行法のやり方は現状に合わなくなってきています。

  この分類法は廃棄物処理法の前の法律である「廃掃法(「廃棄物の処理および清掃に 関する法律」だったかな?)」で決められたものです。

 もともと旧厚生省の内々か、他省との所轄争いか詳細は忘れましたが、担当の縄張り をめぐる争いから、このような分類方法になった経緯がある、縦割り行政の弊害です。

 これは行政のプロである(市役所の職員から市長になられた)高松市長さんもある審議 会で「こんな区分やめたらいいのに」とおっしゃっていましたので、ゴミ問題に関与し ている行政マンも環境市民団体も誰もが感じている弊害でしょう。

 でも毎年のように改正される廃棄物処理法改正の議論では議題としては出されながら、 誰も変えようとしない(仕事が増えて面倒くさくてたまらないせいか?)「ヘンなところ」 であります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 例えば自販機で缶コーヒーを買う。そのまま備え付けのゴミ箱に捨てると産業廃棄物 として処理されます。

 回収ボックスは、コカコーラボトリングとかの業者やオペレータが一括して収集します。 そして、自らもしくは廃棄物処理業者などに委託して、スチール缶、アルミ缶、PET ボトルに分別します。

 分別された空容器は、リサイクル業者のもとに持ち込まれ、資 源リサイクルされていますが、分類としては産業廃棄物になります。 http://www.tokyo.ccbc.co.jp/eco/pdf/07.pdf

 これが、家に持ち帰ってから家庭ゴミとして出すと一般廃棄物になります。

  同じアルミ缶が一般廃棄物にも産業廃棄物にもなってしまうという複雑な(?)仕組 みです。 事務所などの事業系ゴミは本当に中途半端です。小規模事務所などは一般廃棄物とし て出しているところが多いでしょう。これも自治体の税金による処理ですね。一般廃 棄物のうち「事業系」の占める割合はけっこう高いと思います。http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/ippai/shorisisetu/page_1.htm

 もっとも事業系ゴミといっても、喫茶店、食堂、事務所、商店、工場、などの事業活 動にともなうゴミは、経営者の自己責任で処理しなければなりません。処理のできな い場合は、許可業者と契約して処理する〜要はゴミ処理費用を別途払って処理してく ださいってことです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このように一般廃棄物と産業廃棄物を省庁間の縄張り争いで「分別」してしまった結果、 あいまいなグループが生じてしまったというのが第一の問題点。そして、第二の問題 点は税金を使った処理となるとゴミを減らそうというインセンティブが働かないこと です。

  税金を払わない人も払っている人も、たくさんゴミを出す人も分別してゴミを減らし ている人も同じように負担する。(直接目に見えない)税金でのゴミ処理は、その効果 のほどがわかりにくい。自分が出した分だけ負担するように変える方がいいと思います。

  「一般廃棄物に対する排出者責任の導入」というのは「ゴミ処理の有料化」です。

 税金による処理を全部排出者責任に変えるとゴミ袋は高くなるでしょう。1枚100円 程度でも足りないくらいかな?粗大ゴミだと数千円単位になるのかもしれない。

  その分地方税を安くしてくれると負担システムとしてはよく分かる。 でも、地方がこれほどの財政難では住民税が安くなるとは考えにくい。

 これまでの税負担のうえに、ゴミ処理費用が新たに増えてしまうことになってしまう。 ここまで考えてくると「一般廃棄物と産業廃棄物の区分はやめるべし」と言われ続け ながら、実行されない理由も分かったような気がしますが・・・でも〜。

<< 前へ ====次へ>>

「豊島事件と産廃問題」の目次へ戻る