消費者がかわらなきゃ!!

No.22 青森・岩手県境の産廃不法投棄 〜排出事業者の責任追及〜 2002・12・21

<環境省は、98年以前の不法投棄撤去も国が半額負担する時限立法を提出する方針です。不法投棄のつけは結局わたしたちにかえってきます>

 豊島産廃処理は来年夏から本格的にスタートする予定です。撤去費用は当初見積もられていた額より多くなりそうです。12月20日、財務省原案が提示され、国の補助率(従来の方法では1/3だった)が1/2に引き上げられるようです。

 もう一つの産廃不法投棄事件の象徴は、青森・岩手県境の推定82万立方メートルに及ぶ不法投棄です。規模は豊島を上回ります。業者は倒産・廃業。従って処理業者の責任を問えないというところもよく似ています。

 でも、豊島とちがって、青森・岩手県境の不法投棄事件では自治体は積極的に解決の姿勢を見せているようです。岩手県知事は圏外産廃受け入れ拒否の姿勢も示しています。岩手・青森・秋田の北東北3県では2004年から共通産廃税を導入する予定です(岩手はすでに条例を作りました)。

 不法投棄された産廃は、原則として投棄した業者に撤去の責任がありますが、豊島事件や青森・岩手県境不法投棄事件では業者は倒産しているので業者の責任追及が難しい。

 したがって、自治体が代執行(行政庁が義務者の代わりに執行して、その費用を義務者から徴収する制度)をしても不法投棄業者からは徴収できず、結局税金を使って原状回復ということになってしまいます。

 産業廃棄物は排出事業者が責任が問われます。OECDで拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility)が主張されるようになって一層、責任を問う声が大きくなっているようです。

 でも、廃棄物処理法の規定の基づいて実際に排出事業者に措置命令を出すのは難しいです。廃棄物処理法19条の6に注意義務違反という長ったらしい条文があります。

 要は、@排出事業者が適正な処理料金を支払っていない場合、A処理事業者が不適正処理を知り得たのに委託した場合には、排出事業者に措置命令を出す方向で排出事業者の調査を始めているそうです。

 産業廃棄物はマニフェストという管理票を委託のたびに出すことになっています。岩手・青森県境事件では、処理業者に残っているマニフェストを調査し、2627排出事業者(約9割の2321社が首都圏の事業者)を割り出しました。

 これらの排出業者の責任を追及する方針だそうですが、廃棄物処理法を根拠にどこまで責任が追及できるか、難しいそうです。

 豊島事件では公害調停にもちこまれたため、排出事業者も解決金の名目で処理費用を負担することになりました。でも合計3億円くらいだったと思います。  いま、イニシャルコスト、10年に及ぶランニングコストを併せると490億円くらいかかるだろうといわれているので、いかに不法投棄の後始末に大金がかかるかを象徴しています。

 98年6月以降は、国と産業界が拠出する基金が費用の3/4,都道府県が1/4を負担することになっています。それ以前の不法投棄である豊島や青森・岩手県境事件ではこの支援策の対象ではありませんでした。

 環境省は82万立法メートルと国内最大規模の青森・岩手県境事件を原状回復のモデル事業と位置づけ、費用の1/2を国が負担する方針を打ち出し、10年の時限立法を来年の国会に提出する予定だそうです。この方針のなかに豊島が入れてもらえることになったので、この法律を根拠に最初に書いた1/2負担の予算をつけているのでしょう。

 不法投棄のつけは大きい、何倍にもなって私たちにかえってくるといういうことです。

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