消費者がかわらなきゃ!!

No.32 容器包装リサイクル法改正にむけて 〜育てよう、廃棄物会計〜 2004・1・13

 1年くらい前に買って、つんどく状態だった「育てよう!廃棄物会計」という本を 昨日になって一気に読みました。中身をあまり知らないまま注文して、そのままに していました。「容器包装リサイクル法の改正を求めるごみ研究会」という市民団の編です。

 現行の容器包装リサイクル法では真の循環型社会は形成できない、リサイクルが進 めば進むほど自治体の負担が増える、もっとリターナブル容器を普及させる制度をつ くろうという趣旨の本です。

 ここんとこ、ビンや缶、PETボトルのリサイクルについて調べていたのですが、確かに現 行の容器包装リサイクル法では市町村の負担ばかりが増えています。その負担増を補うため のゴミの有料化(有料化が悪いのではなく、有料化によって期待されるゴミの減量は 5%程度でゴミ問題の根本解決にならないのが問題なのです)は負担増を税金で補う だけでリデュースにはつながりません。  

 アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボールは有価物(お金をもらって引き取って もらえる)として取引されるので自治体の負担が増えるってことはありません。

 アル ミ缶のリサイクル率は83%、このリサイクルによってかなりの電力が節約されたこと になります。
古紙は中国やタイへの輸出も増えているので取引価格は高騰しています。
鉄スクラップも取引価格は2年前の2倍に跳ね上がっています。  このあたりのリサイクルはまあまあ合格点かな?

 問題はビンとペットボトルとプラスチックです。

 ペットボトルは回収率が50%程度まで上がっていますが、それ以上に作る量が多い。 スーパーなどペットボトルが山積みです。かさばるペットボトルを市町村の責任で分 別回収して、溶かして、食品包装材などに再利用といっても用途が限られていました。 でも、いまはケミカルリサイクルが進んで「ボトル・ツー・ボトル」という完全リサ イクルか可能になりました。

 技術の力は偉大です。それでも環境負荷を考えると、ペットボトルより何度も使 えるビンの方が望ましいです。

 だけど、難点はビンは重いこと。かの環境大国ドイツでも重いビンを軽いPETボト ル等が凌駕してしまったので強制デポジットを導入したくらいです。

 ペットボトルの再利用の費用は企業が少しだけ、大部分は市町村の負担(=税金) なのに対して、リユースの費用は企業の負担になるのも問題です。  この金銭的な負担差を補うためには拡大生産者責任制(EPR: Extended Producer Responsibility)の考えを取り入れて、製品の廃棄後の費用も企業の負担(=最終的に は価格に転嫁することで消費者の負担)にする必要があります。  

そして、重くてもビンをお店に返そうとするためにはデポジットをぜひとも取り入 れて欲しいものです。デポジットはかなりの広範囲で実施する方が効果的です。 一番効果的なのは「容器包装リサイクル法」にデポジットの仕組みを取り入れるこ とじゃないかと思います。

 ということで、以下がこの「育てよう!廃棄物会計」を読んでのワタシなりの悟りごとです。

@税金の負担で一般廃棄物を処理する仕組みは変える必要がある。
(企業の責任というと経済団体が一斉に反対しようですが、一斉に価格に転嫁でき るように変えればすむんじゃないかな)
Aワンウェイの軽い容器ばかりでなく、リターナブルびんの利用を増やすためには全 国レベルで返さないともったいないと思える程度(たとえば30円程度、10円では 効果が薄い)のデポジットを取り入れること。

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