消費者がかわらなきゃ!!

No.31 香川県高松市の商店街でデポジットモデル事業スタート 〜ごみ処理の責任は誰にある?〜 2003・1・5

ここ何年も足りない知恵でずっと考えてきたごみ処理は身近な環境問題では あります。でも、「みんなの地域、将来の地球を守るために」と考えるより、「身近 な行財政改革」ととらえた方がずっとわかりやすいと思います。

 最終処分場の立地が難しいのは情報開示が十分でないため。いくら規制を厳しくし ても山間地がおおい日本では不法投棄は後を絶たない。一方最終処理業者側としては 収入源であるゴミが減っては困る。かといって掘った巨大な穴がすぐに満杯になって は困る。ということで処理料金を値上げする。

 こういう実体(最終処分場の逼迫)があるから、たくさん出る「ゴミは燃やしてしま え」とかつての厚生省は焼却中心主義 。
「燃やすための施設を作る」のが目標となって しまい、ゴミ処理施設建設に多くの補助金や地方交付税が流れてきました。

 まず、中枢プラントの1/4(東京都は1/2)は国庫補助事業です。残り75%の うち70%は起債(借金)して資金調達をします。そのうち半分が地方交付税として国 からもどってきます。結局、建設費の7割近くは国からのお金でまかなっていること になります。

 100トンの処理能力のある焼却炉を100億円かけて作っても自治体の負担分は25億 円くらいです。ゴミを増やす計画をたてて何とかして大型焼却炉を建設しようとす るのは担当者としてはトーゼンかもしれません。

 そのうえ、この100億円という建設費も大手メーカーの談合の温床となっている可性大です。透明な競争をすすめると10〜15%は安くなるようです。まったくムダ の固まりです。

 そもそも「市町村レベルでゴミ処理をすべし」というのは1970年に廃棄物処理法でめられたことです。生活系ゴミも特定の使用済み製品(ペットボトルや缶ビンなど)も事業系ゴミも全て市町村が回収・処理することになっています。

 事業系ゴミは増加が著しい。使用済みの容器飲料については容器包装リサイクル法が制定されたことによって回収率は上がってもそれ以上に製造量がふえ、自治体の負担経費ばかり増えているというのが実体です。生産者の負担は39億円なのに分別回収する市場村の負担は年間565億円にまで増えています。 リサイクル貧乏といわれるゆえんです。

 何のためのリサイクルか、と疑問に思えるようなペットボトルの増加を抑えるため には発想の転換(を取り入れた法律の改正)が必要でしょう。  事業系ゴミは排出事業者が処理責任を持つ必要があります。そして、使用済み製品 の処理責任は生産者がもつべきでしょう。このような考え方が拡大生産者責任です。

 私自身もよくわかっていなかったのですが拡大生産者責任(EPR)というのは現在は税金でまかなわれている廃棄物処理費用を製品価格に上乗せして、税金の負担を減らすという考え方です。

 ペットボトルの大量生産、大量回収ではなく、容器のリユースを促しゴミが発生しない製品づくりが本来の「環境にやさしい容器」のはずです。  ですから、本当の発生抑制、真の循環型社会の形成を考慮すると廃棄物処理法の抜本 的な改正が必要なはずです。

 でも国法はなかなか変わらない。身近なところから変えていくシステムとしてデポジ ット制があります。デポジットはいろんなところで議論にのぼり、議論されつくして いる感がありますが、その割には日本では実行されていません。

 せいぜい八丈島のローカルデポジット制度か(8月には終了するみたい)、http://www.town.hachijo.tokyo.jp/dejipot/dp0001.htm 滋賀県湖北町の回収報償金方式http://www.chuokai-shiga.or.jp/contents/kumiai/example/hot10.html# や早稲田商店街のラッキーチケット付き空き缶回収機あたりがせいぜいの導入例でしょうか。

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 さて、前置きばかりで本題がほんのわずかになってしまいましたが、香川県では 2003年12月12日からデポジット制度のモデル事業がスタートしました。 http://www.pref.kagawa.jp/kocho/wnews/n2003121202/  デポジットもお金の流れを変える一つの方法です。

 商店街(高松市の田町商店街)に空き缶回収機を設置し、空き缶を投入すると専用ポイントカードにポイン トが記録され、一定ポイントがたまると田町商店街で使用できる仕組みです。エコマネー を使った方式、滋賀県の回収報償金制度と同様の方式です。

以下にデポジット制度の導入検討について(概要)があります。 http://www.pref.kagawa.jp/pubsys/cgi/updfiles/contents/5000/4667/xml_upd_file8/tyukanyoyaku.doc  

本来のデポジットは現行制度を大きく変え、国レベルで消費者がデポジット額を支払う方式が望 ましいものです。製品価格にデポジットを上乗せして払う。返却場所まで容器類をも ってきてもらって初めてデポジットを返却する。回収の方式も生産者が決定すること が大事です。

 今「容器包装リサイクル法」の見直しが議論されています。
@使い捨て容器に対する発生抑制効果がない、
A結果的にリターナブル容器を減らしている、
B自治体が負担する収集、運搬、分別、保管コストが高い

という問題点のある容器包装リサイクル法はぜひデポジットを取り入れた改正をして ほしいものですが、それでも、香川県環境森林部廃棄物対策課のデポジット制度モ デル事業という小さな一歩にエールを送りたいものです。

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