消費者がかわらなきゃ!!

No.30 分別収集を促す方法〜デポジットの利用〜2003・12・30  

 家庭からのゴミ問題や産廃問題が議論されるとき、いつも主張されるのは最終処分の逼迫問題です。

迷惑施設である最終処分場の新規建設は難しい。限りある国土で は処分場の立地には限界がある。だから、最終処分場に持ち込む量を少なくする必要 がある。

 ゴミの減量化・減容化が必要→(∴)大型焼却炉による一括焼却やガス化溶融炉に よる減容化が必要・・・というのが行政側の立場です。 大型焼却炉を利用すること によって発生するダイオキシンの量は少なくなるというオマケもあるようですし。

  廃棄物発電によって熱や電力としてエネルギーを回収することもできる、というの がもう一つの自慢(焼却炉の見学に行くと、発電による売電によって電力会社から 収入を得ているという説明だけは嬉々としてされています)の種のようです。でも、 実際の売電価格は低いし、工場外部の送電網とつなぐのは難しい場合が多いそうで、 「自家発電に利用する」「市民温水プールとして熱利用」がせいぜいのようです。

 大型焼却炉を建設すると高温を保つために雑多なゴミが必要なので、分別収集は不になります。分別をしないということは再利用できるものまで燃やしてしまうこと ですから、いつまでたっても循環型社会にはなりません。

 現在の税金の流れ(大型焼却炉を建設すると国庫補助金や地方交付税特別枠からの 補助が出る)を変える必要があります。大型焼却炉を1基建設する費用でいくつもの リサイクル施設(コンポスト施設、ゴミの分別施設、そしてこれらの施設で働く人たの雇用の場を確保できる)を建設することができるはずです。

 一番望ましいのはリデュースですが、その次に望ましいのはリユース、そしてその 次がリサイクルのはずです。

 紙ゴミのリサイクルは回収率が61.9%、利用率が58.0% とほぼ世界一のリサイクル率を誇っています。 アルミ缶は82.8%、スチール缶は85.2%、ペットボトルは40.1%、ガラスビンは 82.0%(平成13年度)とこちらも高いリサイクル率を誇っています。

 これらは有償 で回っていますが、有償で売れないペットボトルのリサイクル率は上がっています が、それ以上にペットボトルの生産量が増えている。そのうえ、ペットボトルの再 利用先も限定されています。

 これらのペットボトルのリサイクルで肝心なのは、ペットボトルのリサイクル率を 競うのではなくペットボトルの利用を抑制することのはずです。300mlのボトルなん て必要なくて、リユースできるビンでいいはずなのに、今では環境関連の会議でも必 ず小さなボトルのお茶が出てきます(ホントは環境を考えていないおじさん達の集団 であることがミエミエ*_*)。

 カレットとして利用するためのガラス瓶の回収率を競うのではなく(他のボトル類 といっしょに回収している自治体はこの方式が多い)、リユースできるビンはそのま ま洗浄して何度も何度も利用できるようにする方が大事です。

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  そして、容器包装類とともに一般廃棄物のかなりの部分を占める生ゴミの分別処理、 これらをどうやってシステム化していくかが大事なことでしょう。 生ゴミは臭いので分別収集は難しく、家庭用のコンポストを使っているところ以外は 「燃えるゴミ」として廃棄しているところが大部分でしょう。  

 生ゴミだけ別に収集している自治体はあるのかしら?・・と調べてみると北海道喜 茂別町という町では平成10年12月から生ゴミの分別収集、コンポスト化が行われ ています。
http://www.pref.hokkaido.jp/skikaku/sk-ssnji/epoca22/mini/no1/kimobetu2.htm

埼玉県比企郡小川町ではバイオガスプラントを利用した生ゴミの資源化が行われて います。こちらは全町レベルではないので地域通貨が使われているようです。
http://www.foodo.org/b-guss/outline1.html

このように一般ゴミを減らすためには、容器包装類と生ゴミの減量化がポイントと なるでしょう。

容器包装類については容器包装リサイクル法があります。でもこの 法律を守ってもペットボトル類を減らすこともガラス瓶のリユースを促すこともで きません。食品リサイクル法も施行されていますが、一般家庭のコンポストを促す システムにはなっていません。  

 規制ばかり厳しくする法律の施行だけでは不十分で、分別の徹底によってシステム がうまく機能するようにする必要があります。そのためにはお金の流れを変えること が効果的だと思います。

 地域通貨(エコマネー)も一考すべき方法ですが、地域通貨ではそれを使って買い たくなるような魅惑的な商品があるかどうかというのが大問題です。万人に魅力的な 商品というのも難しく、ならば、国内どこでも通じる日本国通貨を利用したデポジッ トを効率的に利用できないだろうか、とついつい考えてしまいます。

 デポジットはある程度の広域で行うこと、返却しないともったいないと思える程度 の金額にする必要があると思います。
一般廃棄物の処理責任は市町村にあるので「ある程度広域というのも難しい」し、「10円のデポジットなら賛成でも50円のデポジット となると反対の人も多そう」だし・・

 というようにデポジットの導入にはなかなか難しい問題がおおいけど、重いビンのリユースを促す、廃棄物処理の費用負担という意味ではデポジットの役割は大きいと思います。

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