エネルギー政策と京都議定書

No.1  IPCC報告書

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共催して設立した国連の組織のひとつで、地球温暖化に関する最新の自然科学的および社会科学的知見をまとめ、地球温暖化防止政策に科学的な基礎を与えることを目標としています。199512月にローマで第二次報告書が採択されました。

 現在、地球表面の平均気温が約15℃に保たれているのは、光はよく通すが赤外線(熱)を吸収する温室効果ガスが大気中に存在しているためです。仮に温室効果ガスがなかったとすると、地球の気温はマイナス18℃くらいにになってしまうといわれています。

 地球の地表温度はCO等の排出と固定の微妙なバランスの上に維持されてきたものですが、産業革命以後の人為的な温室効果ガスの排出によって大気中のCO濃度は産業革命以前の280ppmvppmv100万分の1、容積比)から1994年には358ppmvへと上昇しています。第二次報告書では人為的影響による地球温暖化がすでに起こりつつあることを確認。今後2100年には中位の予測として、約2℃の平均気温の上昇、約50pの海面の上昇、極端な高温等の気候変化を予測しました。

 IPCC第三次報告書(20014)では第二次報告書での2100年に平均気温が最大約1℃〜3.5℃上昇するとの予測を最大約1.4℃〜5.8℃上昇すると上方修正しました。「温暖化への人為的な影響がよりはっきりしてきた」と各国に早急な温暖化対策を促しています。

 将来的にCOの大気中濃度を産業革命前レベルの2倍以内に押さえるためには、2100年までに温室効果ガスの排出量を途上国を含めて1990年比で半減させないと、温暖化による経済社会へのダメージは回避できないとされています。そして、この目標を達成するためには、現在わが国において一人あたり炭素換算で2.6トン/年排出しているCO排出量を2100年において世界全体で1トン/年以下まで減らす必要があるとされています。 

 でも、地球温暖化の被害が実際に顕在化するのは50年先、100年先のことなので我々世代が被害者となることがないので温暖化対策への取組の合意を得ることはとても難しい。そのうえ、南北問題があります。先進国間での対立があります。米国が京都議定書から離脱したのはいい例(ホントは最悪の事例)です。

 最も大切なのは地球環境問題は不可逆的だということです。目に見えないけど今そこにある危機をどれだけ共有できるかがポイントだと思います。

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