電力自由化政策

No.1  電力自由化政策とは?

 日本は資源小国です。エネルギー資源となる石油・石炭・天然ガスはほとんど産出しません。一方で電気は生活に欠くことのできない必需品で停電が起きると困ってしまいます。ですから、日本では安定供給を最優先に戦後すぐ9電力会社制がとられ、供給責任(どんな離島でも電気を供給する義務)と引き換えに地域独占が認められてきました。その結果、日本の電力会社は世界に類をみないほど高品質の電力を供給し安定性はバツグンですが、競争が起きにくい体制のため世界で一番高い電気料金になっています。

  電力は規模の経済の見本のような商品で設備産業です。送電網で発電所と全ての需要家をつなぐ必要があります。そして送電網は一つだけでいいのです。戦前は電力供給会社がそれぞれ別個に送電線をひいて、「夜のうちに電気が盗まれた」なんて冗談のような実話があったそうです。しかし、技術の進歩でNTTと同様に電力にも競争を導入できることがわかってきました。世界規模では1990年のイングランドから自由化が始まりました。

 日本では19977月の「2001年までに国際的に遜色のないコスト水準をめざし、我が国の電力のコストを中長期的に低減する基盤の確立を図るため、今後の電気事業はいかにあるべきか」という通産大臣からの諮問の付託によりあたふたと議論が始まりました。

 2000年3月、使用規模2000`h以上(約1/3)を対象に部分自由化が始まりましたが自由化後概ね3年後をめどに制度を検証するとなっています。部分自由化は市場メカニズムの導入による効率性の追求と市場メカニズムでは解決できない公益的課題の達成という狭間での現実的な回答で最終的な回答ではありえません。

 そして、2002年4月4日午後の資源エネルギー調査会電気事業分科会で、南直哉東電社長が「全面自由化を前向きに検討する」と発言しました。この瞬間、電力小売りの全面自由化が固まりました。2007年度をめどに全面自由化される予定になりました。

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