分散型エネルギー普及策

No.1  再生可能エネルギーの現状と普及のためのポイント

 原子力推進に対しては賛否両論ですが、分散型エネルギー推進に対しては総論ではみんな賛成です。強力な推進策がとれるかどうかです。政府側の立場を代弁する人たちは必ず、再生可能エネルギーは風まかせ、お日様任せで安定性がない−こればかりを主張します。

 机上で作り上げたシミュレーションを元に、推進策をとっても普及はこのくらい→基幹電源になれない→だから原子力が必要というのが大まかな議論の展開の仕方です。あるシンポジウムである研究所の研究員の方が「我が家の屋根に太陽光を取り付けました」とその収支報告をされた後、「やっぱり現状では原子力は必要です」と言われました。別の研究会で司会をされていたジャーナリストの方がハイブリッド車の乗り心地について説明されていました。とりあえずは新エネルギー(政府の定義です。世界的には再生可能エネルギーの方が一般的です)も推進しているんですよってことです。 

 現状では原子力が必要というのも厳然たる事実でしょう。これを否定すると旧来型の原子力反対派の主張になってしまいます。どうやって脱原子力・脱化石燃料を同時にはかっていくかでしょう。日本の1999年度のエネルギー源は52%の石油を筆頭に82%が化石燃料です。新エネルギー源は1%にすぎません。

          新エネルギー源利用の実績と目標

      

 1999年度実績

 2010年度目標案

原油換算

設置容量

原油換算

設置容量

太陽光

風 力

廃棄物

バイオマス

 5.2kl

  3.5

 115

  5.4

20.5kW

  8.3

  8.3

  90

118kl

  134

  552

   34

482kW

 300

 417

  33

熱 分

利 野

太陽熱 

黒液・廃材

その他

 98

 457

 8.5

 

 

 

  439

  494

  139

  

  

  

   合  計

 692.6

 1910

エネルギーに占める割合

  1.2

 3.2

 この表に示す数値は20016月の長期エネルギー需給見通しでの推進策を採った場合の2010年度の新エネルギーの努力目標です。なにしろベースの数字が低すぎるので太陽光で20倍以上、風力で30倍以上と、伸び率の数字だけは驚異的です。

 再生可能エネルギーを強力にすすめるには法律面の整備(たとえば風力発電所を作る場合の壁になっている各方面への許可申請等の書類の山をくずすこと)とともに価格面がポイントでしょう。資本主義経済社会では崇高なる善意だけで高価格商品の売上が伸びるとは思えません。

 例えば太陽光は設置時の補助金制度(だいぶ減らされました)がありますが、「元を取れるのは孫の代」と500万円をかけて設置した友人がいってました。電力会社は余剰電力はすべて、火力発電コストより割高な値段で買い取ってくれますが、電力会社側からは他の燃料源と比べて高価格での買取を余技なくされているので負担があります(だから、経営者のホンネで言えばあまり伸びて欲しくないはずです)。売る方も、優遇された価格とはいいながら1ワットあたりの発電単価が80円といわれてますので、まだまだ元はとれません。善意が商売になるような制度が欲しいと思います。

 デンマークでは風力発電を5000万円もかけて設置する市民がいるそうです。「なぜ設置したのですか」というテレビインタビューに対して「MONEY」と答えていました。それでいいと思いますし、お金は大いなるインセンティブだと思います。

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