分散型エネルギー普及策
No.2 燃料電池の時代がくるか?
燃料電池は水の電気分解と逆に、水素と酸素からエネルギーを取り出す方法です。水素を作る技術はほぼ確立しているそうです。ただ、何から水素を作るかが問題です。
経済産業省燃料電池実用化戦略研究会報告(2001年1月22日)では、経済性の向上(自動車用で現在kWあたり1万ドルのコストを5000円(25万円/台)に、定置用で1台あたり30〜50万円)にすることにより、2005年〜2010年には自動車用約5万台、定置用約210万kWを目標にしています。2020年には自動車用500万台、定置用1000万kW(原発10基分)(市場規模8兆円)を目標としています。技術は確立しているそうなのであとは経済性です。
燃料電池車はインフラ整備に成功するかどうかが鍵でしょう。いま世界中にガソリンスタンドが網羅されていますが、水素スタンドはほとんどありません。ガソリン改質方式とメタノール方式で主導権争い(トヨタとGMはガソリン改質、ダイムラーはメタノール、BMWとホンダは水素を燃料とする方針)が繰り広げられていますが、これらは10年程度のつなぎで最終的には水素方式になるという点で業界の見方は一致しているそうです。
かつてビデオテープでVHSとベータの争いがあり、結局VHSが生き残りました。ガソリン改質にしてもメタノールにしても一時しのぎ、そのために巨額の費用のかかるインフラ整備をするとは思えない。水素を本命にした政策にしてもらいたいものです。
ガソリン車の燃費向上策を採ってきたアメリカも政策を転換し、燃料電池車の開発支援に乗り出す方針です。「技術革新で温暖化対策」ということです。
燃料電池自動車の時代は確実にくるでしょう。世界の原油究極可採埋蔵量の2分の1を生産し終わるのは2010年前後だそうです。いまはミネラルウォーターより安いガソリンですが、そのうち間違いなく枯渇し、値段が上昇するはずです。エンジンで石油燃料を爆発させて走る現行の内燃機関自動車は20世紀の遺物となりそうです。(「ガソリン車が消える日」舘内端(2000):宝島社)
一方の定置用の発電機による分散型電源の時代はくるでしょうか?燃料電池を設置した家庭のイメージは下の通りです。価格面では燃料自動車よりハードルは低そうですし、ぜひ普及してもらいたいです。
(出所)大阪ガスHP http://www.osakagas.co.jp/rd/sheet/o26i2.gif
ある電力会社の社員からきた年賀状に燃料電池おそるべしと添え書きしてありました。ホントにそんな時代がきて欲しいものです。そんな日が来たら、マンション暮らしをやめて一戸建てに住んで床暖房にします(^^;)。なにしろマンションは冬の寒さを実感することがないので、一戸建てに住んでいた頃の冬の寒さを思うと狭くても便利なマンションライフをやめられないのです。ついでにいえば、ノートパソコン用の燃料電池をはやく開発して欲しいです。持ち運びが便利になりますもの。