豊島事件と産廃問題

 

No.12  茨木市(大阪府)ガス化溶融炉見学会 2002/10/4 

 10月4日にガス化溶融炉見学会(CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の第]期地球環境大学・課外講座)に参加しました。はるばる大きな橋(=明石大橋のこと、「海辺のカフカ」の表現です)を越えて、アズキ色の阪急電車に乗って初めて茨木市に行きました。駅前からは黒色の阪急タクシーに分乗して環境衛生センターへ行きました。

 どうしても一度ガス化溶融炉を見てみたかったので・・(いま、瀬戸内海の直島に豊島産廃を処理するためのガス化溶融炉が建設されていますが、工事中はいっさい見学させてもらえません)。 茨木市のものは正確には直接溶融炉だそうです。溶融炉の炉の高さは12メートル、ゴミの挿入装置が15メートルで巨大な環境衛生センターのなかでは小さな一部分です。

副工場長の方と技術主任の方が説明をしてくれました。

この方が副工場長さん。技術屋さんだそうです。6月には市内の小学校の4年生が一斉に見学にくるそうで、「おっちゃんについといで」と1クラスずつ見学させるそうです。

これが中央制御室。12人ごとの4チーム、12時間交代で24時間・365日燃え続ける炉の監視・管理をしています。

見えにくいけどこれがごみピット・クレーンです。マットレスや土、カン・ビン雑多なゴミです。

これも見えにくいけど1時間に1回、炉の底に穴をあけて、溶融物を取り出します。人力です。すぐ冷やすとスラグと鉄になります。

  熱利用もしているそうで、蒸気タービン発電2基が稼働しています。1基だとセンター内で使う電力量にちょうど対応する発電量だそうですが、2基稼働するときは「かんでん」に売電しているそうです。平成13年度で7000万円(高い時間帯だと単価10円、夜間等安い時間帯でと5円くらい)の収入があったそうです。燃やした後に出てくるスラグや鉄は1トンあたり330円にしかならないことを考えればサーマルリサイクルのメリットは大きいといえそうです。

 茨木市ではプラステックも金物類もスプレーも陶器も分別収集することなく、全て普通ゴミとして集めているそうです(ただし、粗大ゴミと資源ゴミも別途集めてはいます)。

  よくいわれるようにガス化溶融炉は燃焼のための安定したカロリーが必要なため、雑多なゴミを必要とします。分別収集するとカロリーが落ちるので安定した燃焼ができないそうです。ただし、直接溶融炉では混ぜるコークスの量を調整することにより対応できるそうです。

 そもそもガス化溶融炉が脚光を浴びるようになったのは、最終処分場の逼迫問題により、一般廃棄物燃焼後の埋立ゴミを減らす必要があった(従来のストーカ炉だと20%が集塵灰、それが、溶融炉だと6%くらいに減ります)こと。そして、新日鐵などの重厚長大型鉄鋼業が高炉の不況により、新しく廃棄物処理産業に進出するもくろみがあったことが要因になっています。

  ですから、日量△△トンの処理をする→そのために必要なゴミを集めてくるという図式になってしまいます。どう考えてもリサイクル推進にはつながらないと思います。

  一般廃棄物だと廃プラ、産業廃棄物だとシュレッダーダストが一番の問題でしょう。廃プラを分別収集している自治体は圧縮処理して工場に運び、助燃剤として使用します。でも使い勝手が悪く、運ばれた工場で山積みされているそうです。これが産廃だともっと雑多なゴミが混じっています。本当に炉が傷まないんだろうかというのが副工場長さんのご意見でした。

 ボトルtoボトルのリサイクルも大事ですし、それ以前にペットボトルの使用抑制→重くてもリユースしやすいビンの利用を拡大すべきだと思います。

<< 前へ ==== 次へ>>

 

                                                            「豊島事件と産廃問題」の目次へ戻る