豊島事件と産廃問題

No.15 直島エコタウン計画   2002・10・18

 2001年12月、ほとんど議論もせずに大急ぎで県外産廃取扱条例を可決したのは、直島エコタウン計画をはやく決めて補助金を受けたかったのが行政側の本音だったのと思います。

 豊島の隣の直島にある三菱マテリアルでは、豊島産廃受け入れの条件に「島の活性化」を要求しました。三菱マテリアルでは国の補助が得られるエコタウン事業を利用し、産廃の処理後に排出される飛灰を再資源化します。

 三菱マテリアル直島精錬所では豊島産廃の溶融施設で月5000トンの処理(10年以上かかる見通し)を行います。しかし、豊島産廃の飛灰だけでは再資源化事業の採算が合わないとして、独自に県外産廃を受け入れて月5000トンの溶融処理を行います。

 ですから、処理施設は来年夏に完成予定の豊島産廃処理用の直接溶融炉と三菱マテリアルが県外産廃を受け入れて独自に行う施設の2本立てです。一民間企業の事業がうまくいくようにと、香川県は県外産廃受け入れ条例まで作ったということになります。

 香川県内の廃棄物処理をするためにではなくて、事業規模として採算性がとれるように、まず「月5000トンの処理施設ありき」です。瀬戸内海沿岸では倉敷市でも大規模なガス化溶融炉が計画されているそうで、笑い事ではなくゴミの取り合いになりそうです。

 ガス化溶融推進策は斜陽産業である鉄鋼業救済策という一面もあるのではないでしょうか。ガス化溶融は新しい技術ではなく、もともとは製鉄所や精錬所の技術だったそうで、これらの「にっちもさっちもいかなくなった重厚長大型産業」を救うために、広域処理・ガス化溶融推進というサーマルリサイクルを推進しているのではと疑心暗鬼になってしまいます。

 ガス化溶融炉はあらゆる雑多なゴミを必要とするので、分別されるとかえって困ってしまいます。当然リデュースの視点はありません。リサイクルやリユースの観点すら危うくなります。

 複雑な施設なので、運転管理も難しいそうです。最終的には無害なスラグと鉄しか出ない。スラグは路盤剤に使うとはいっていますが、もともと何が混じっていたのかわからない雑多な廃棄物です。路盤剤として使っても、車が通行するにつれて表面がはげて、有害物がでてこないとも限りません。

 気体は廃棄物処理法上の廃棄物ではありませんが、ダイオキシンだって、少なくなるとはいえ、燃やす限りは必ず発生します。

 「ちょっと待て、ガス化溶融よ!」という気分です。

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