豊島事件と産廃問題

No.2  最終合意

 200066日豊島小学校で国の公害調停委員会が示した調停文書に署名押印し、豊島の産業廃棄物問題をめぐる最終合意が成立しました。真鍋知事が「心から謝罪します」と住民に向かって頭を下げ、国内最大規模とされる産廃問題は産廃処理業の申請から25年、住民が公害調停を申請してから7年ぶりに撤去に向けて動き出しました。

 「住民はお金が欲しいんでしょ」発言をして評判が悪かった県知事ですが、常に「心のない行政のトップ」だったわけではなく、豊島事件をどう解決すべきか高松市にある紫雲山に30数回も登り、ここから見える豊島を眺め、想いをはせていたそうです。

 最終合意の数日後、豊島から選出された石井亮県議が話してくれました。知事は小学校体育館の壇上で涙していましたが、その帰り道でも涙していたそうです。マスコミは小学校から港まで並んで歩く知事と中坊弁護士の姿を報道していましたが、その前、控え室に帰る途中のことです。豊島事件によって人生が変わってしまった人が何人もいます。「エリートコースを歩んできた官僚出身の真鍋知事こそ豊島事件によって人生がかわった最大の人かもしれない」というのが石井県議の感想でした。


<最終合意要旨>

◆香川県は、廃棄物の認定を誤り、処理業者に対する適切な指導監督を怠った結果、処分 地について土壌汚染、水質汚濁等深刻な事態を招来し、豊島住民に長期にわたり不安と 苦痛を与えたことを認め、申請人(住民)に対し、心から謝罪の意を表する

◆県は搬出した廃棄物等を焼却・溶融方式によって処理し、副成物の再利用を図る。焼却 ・溶融処理は、香川県直島町の三菱マテリアル直島製錬所敷地内に設置される処理施設 において行う。廃棄物等の処理が終わるまではそれ以外の廃棄物の処理はしない(例外 規定あり)。

◆申請人ら及び県は、事業実施について協議するため、申請人らの代表者及び香川県の担 当職員等による「豊島産業廃棄物処理協議会」を設置する。

◆申請人らは(排出企業からの)解決金(3億2500万円=支払い済み分)を、廃棄物等

 の対策費用として香川県に振り込む。申請人らは、県に損害賠償請求をしない

◆申請人ら及び県は、本調停によって紛争の一切を解決したものとし、今後互いに協力し て調停条項に定めた事項の円滑な実施に努める。さらに県は、県内の離島とともに豊島 について離島進行の推進に協力する。

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