豊島事件と産廃問題

No.3  県外廃棄物の取り扱いに関する条例

 香川県議会は20011217日、県外から産業廃棄物を持ち込む際のルールを定めた産廃条例案を可決しました。事前協議制度と違反者への罰金を全国で初めて盛り込み、不法投棄の抑制効果を狙っています。県報で公布後、1年以内に施行する予定です。

 豊島産廃は隣にある直島の三菱マテリアル直島製錬所で20034月から無害化処理されます。同時に直島町でリサイクル事業を展開、月間約800トンの県内産廃だけでは処理能力5000トンのリサイクル施設の採算を確保できないため、県外産廃持ち込みを容認したものです。

  香川県は1991年(平成3年)に豊島事件の教訓から県外産廃の原則持ち込み禁止要綱がありました。これが一変します。条例は総務委員会の検討会で進められましたが、これとは別に県議有志による「環境政策研究会」が条例原案を作成しました。詳細はhttp://kagawakankyo.hoops.livedoor.com/   に載っています。

 研究会案は「原則禁止」を全面に出した上で、「県外産廃については循環利用を図る」としていますが、提案に必要な県議4人がそろわず、日の目をみることがありませんでした。

 原則搬入禁止を採っている県は15ありますが要綱にとどまり、条例化した例はありません。県境越境移動の廃棄物に制限を加えていない「廃棄物処理法」に対して違法と考えられるからだそうです。シンポジウム「ゴミの行方」(2001122日)資料によれば、「条例の違法性は何故県外廃棄物を規制するのか、規制を行う事によって何を守るのか(保護法益)、その規制は保護法益に対して適正か否か」によって検証されるそうです。専門的すぎて難しいのですが、明確な事実の下に香川県独自の目的達成に向け、法の許認可には関与せず、目的に見合った規制を行う場合は、当然合法だそうです。

 越境移動が禁止されると東京とか大阪は困るだろうなと思います。効率性から見ると広域処理の方が経済的です。でも無制限に受け入れるわけにはいかないのでどっかに線引きが必要です。香川県のような小さな県(ゴミが足りない)と面積が狭くても人口密度の高い大阪(ゴミが多すぎる)では事情が異なります(面積はほぼ同じです)。これから考えていくべき論点だと思います。

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