豊島事件と産廃問題

No.23  エネルギー大作戦 〜今なぜ、島でエネルギーなのか〜 2003・1・26

 <デンマーク・サムソ島から瀬戸内海の小島へお客様が来られました>

  デンマークにサムソ島という聞くからに寒そうな名前の島があります。「化石燃料に頼らない島づくりに挑戦している島」ということで、けっこう有名な島です。そのサムソ・エネルギー環境事務所(Samso Energy and Environment Office)の代表をつとめるゾーレン・ハーマンセン氏が昨日、豊島に来られました。菜の花バスプロジェクトを進めている豊島で、離島のエネルギー問題について考える「エネルギー大作戦!」での講演のためです。

  サムソ島の名前は知っていました。日本総研主任研究員で自然エネルギーに詳しい飯田哲也さんの「北欧のエネルギーデモクラシー」という本の中で紹介されていたからです。

 今日、改めて199ページ以下の「自然エネルギー自給を目指す島々」を読んでみました。 そうしたら、講演時(上記画像の人です)より少し若いハーマンセン氏の笑顔いっぱいの写真が掲載されていました。書いてある内容も、プレゼンテーションを聞いた後なのでよく分かりました^;)。

  日本でいうと屋久島のように自然エネルギーと地域再生を結びつけた島というところでしょうか。この島には風車が11基、洋上風力発電も1基、稼働しています。その他バイオマスや太陽光の利用、電気自動車を利用しているとのとのことです。

 有名な島なので大きな島かと思っていたら、面積は小豆島の2/3、人口は4300人だそうです。高等教育を受けようと思うと15歳で島外に出る必要がある。島の高齢化が進んでいる・・・と、日本の離島と同様の問題を抱えています。

  小さな島は再生可能エネルギーによる持続的な社会をつくるモデルケースになりやすい。ということで1997年に国から選ばれたそうです。2007年には電力と熱供給を100%再生可能エネルギーに転換し、運輸部門のエネルギー消費を2割削減することを目指しています。

  具体的には地域暖房に再生可能エネルギーを使っているそうです。デンマークの北海周辺では強くはないがいつも西風が吹いているそうです。風力発電に適した場所です。

  自然エネルギーのなかで風力が主力になっていますが、日本と違うのは大きな電力会社がウィンド・ファームを建設するのではなく、共同組合として、市民が株を持ちながら風力発電をやっていくという特長があります。株を持つということはリスクを負うことになります。しかし、地方、島に住むことはリスクを持つことであるとの共通の理解があるようです。

  小さな島なので輸送手段として車は欠かせません。サムソ島でもご多分にもれず、高齢化が進んでいるので介護が必要な老人が多いそうです。その介護に使われるのがElectric Carです。1回充電すると100キロは走るそうです。介護者は1日平均70キロ、車を走らせているそうなので充電するにはちょうどよい距離だそうです。

  サムソ島がめざしているのはエネルギーの自給自足です。一つの風車で650戸の電気をまかなえるそうです。電気の値段も他の地域と同じ1kWあたり1.6クローネだそうです。風力発電によって新たな雇用も生み出すことができます。

  日本の場合、風力に適した場所は東北や北海道に偏在しています。でも、南の地は太陽がいっぱい。そして、世界的には砂漠化が進行しているなか、日本には山林がいっぱい(ただし、荒廃していますが)あります。要は、その地域にみあった自然エネルギーを利用すればいいということです。

  むやみに外国産の農産業や燃料に頼ることなく、農業やエネルギーは可能な限り自給自足をめざすべき時代になっているのでしょう。

 

<< 前へ ====次へ>>

「豊島事件と産廃問題」の目次へ戻る