豊島事件と産廃問題

No.35 問題は焼却主義にある 〜廃棄物発電を新エネルギーにカウントしてはいけない〜 2004・3・1

 自分は自慢したくなるほどの田舎育ちのもので近くには畑がいっぱいありました。 今でこそダイオキシンが発生するので野焼きは悪いと言われていますが、当時はそのよ うな感覚はなくて、何を隠そう〜不要物を燃やすのが好きでした(*_*)。

  引っ越しの時のダンボールも燃やしていましたし、10年くらい前は、ゴミを減らすた め庭で燃やせる小型焼却炉には補助金も支給されていました。隔世の感があります。

  いまでも晩秋になると田舎ではもみ殻などを田んぼで燃やしています。中央分離帯な どに植えられている街路樹の剪定木なども随分大量に発生しているはずです。これら も全て焼却処理されているのでしょうか?バイオマスとしてのエネルギー利用はどの 程度進んでいるのでしょうか?

 日本では遺体も燃やしますし、日本人は元々燃やすことが好きだったのかもしれない ですね。

 中温での焼却はダイオキシンを発生させるということで焼却炉の広域化、大型化が叫 ばれるようになりました。いまやダイオキシンは毛嫌いされる化学物質の筆頭のようで すが、恐竜の時代にだって山火事はあったはずですから、微量のダイオキシンも含めて 全て有害というわけではないでしょうが、それでもダイオキシンを発生させるような人 為的な施設はないに超したことはない。

 ということで日本のかつての厚生省(現在は環境省の仕事)がめざすのがゴミ処理施の大型化です。2002年12月以降は規制をクリアしなければ既存施設を含めて稼働でき なくなりました。  

 あっちこっちで大型焼却炉の建設ラッシュになりました。広域で清掃組合を作って施 設を建設する。赤字自治体でも大丈夫! 補助金も地方交付税もいっぱい回してあげま すよ、という政策でした。

 なにしろ国庫補助の対象となる焼却施設の総事業費は2000年度でゴミ焼却施設5375億 円、排ガス高度処理事業2510億円、そのうち1900億円は環境省の国庫補助。残りは自治 体が起債を起こしていますが、その半分程度は地方交付税で穴埋めしています。

 ということで現在日本にある焼却炉の数は1700基以上、世界中の一般廃棄物焼却炉の 2/3を占め、一般廃棄物の75%以上を焼却処理しています。 大型焼却炉やガス化溶融炉では1200℃以上の高温、鉄を溶かすような高温でゴミを燃 やしているわけですから、廃熱が出ます。

 この廃熱を利用して蒸気タービンを回し発 電します。施設内の電気として使ったり、規模が大きい場合には電力会社に売電して います。

  サーマルリサイクルと横文字でいえばかっこよさそうですが、実際は燃やして燃料に しているだけです。発電効率もよくありません。1日300トンのゴミ(人口約30万人分)を燃焼させないとコスト的に合わなくなってしまいます。

  同じ廃棄物発電といってもバイオマス発電はOKじゃないかとの意見もありますし、 私自身もバイオマスはカーボン・ニュートラル(バイオマスを燃焼させても新たな CO2排出はないものとして扱う)なのでいいんじゃないかなぁとも思いますが、生ゴ ミだけをを使った廃棄物発電、その中に他の廃棄物が混入している廃棄物発電など境 界の線引きをするのは難しいようです。  

 根がぐーたらなものでこまめな分別は不得意なのですが、 そんなワタシでも「分別」こそ脱焼却・脱埋立のキーワードのように思います。

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