豊島事件と産廃問題

No.7  12回豊島原論「ええっ!県外からゴミが来るの?」2002317
            講師 香川県議会議員 石井亮   土庄町中央公民館

 No.3 県外廃棄物の取り扱いに関する条例 は賛成41名、反対3名で可決されました。その反対3名のうちの一人が豊島から選出された石井亮県議です。

 豊島原論は「豊島事件」を切り口に産廃問題、循環型社会の構築を考えていく連続講座ですが、今回は豊島事件の原点に立ち返って、廃棄物処理法の趣旨、豊島事件、調停合意、その後のエコタウン計画などを含めた豊島事件と県のかかわりを考える講座となりました。

 No.2 最終合意 (200066日)の後、エコタウン事業が打ち出されました。豊島の産廃は船で隣の直島に運ばれます。そして、三菱マテリアルの敷地内に建設された溶融炉で処理され、スラグと飛灰になります。溶融炉自体はクボタが建設しますが、かなりの金属が残っている飛灰がやっかいもので、これは三菱マテリアルの銅の精錬炉に利用されることになっています。しかし、飛灰を直接炉に入れないで、塩素を取り除く施設を三菱マテリアルが自前で作ることになり、香川県行政指導要綱H3;県外産廃の原則持込禁止を決めたもの)の見直しが知事より提案されました。香川県内のゴミだけでは溶融炉を維持できないからです。

 そういう事情で、この県外産廃の持ち込み禁止を改正する条例を県議会で作ることになりました。何しろ条例を作るのは49年ぶりの作業だったそうで、地方の立法府である議会では作ることができず、県の職員に作らせたそうです。それが44人の議員のうち41人が賛成した県外産業廃棄物取り扱い条例です。石井県議は環境省、行政法学者、経済学者、産廃業者等と議論を重ねながら、石井私案を作りましたが、提案に必要な4人の同意が得られず日の目を見ることはありませんでした。

 瀬戸内海沿岸には12,000トン/日のシュレッダーダストが発生しているそうです。そのうち5,000トン/日を直島で処理する予定です。しかし、倉敷(岡山県)に7,500トン/日の処理能力のある溶融炉が2005年に開業予定だそうです。つまり、ゴミの奪い合い、ゴミが足りないという事態に陥るのです。

 リサイクルではゴミは減りません。本来は発生を抑制することによってゴミが足りないようにしなければならないのに、ゴミがたくさん出ることを前提に大型溶融炉を作ると、ゴミが減ると企業規模を縮小する、最悪、倒産する・・・危惧があります。

 ゴミはまず、リデュース、そして、リユース、それもできないものをリサイクルするべきですが、このエコタウン事業はゴミの発生を前提にした事業です。ゴミがなくなると困る・・・新聞でも批判されているように循環型社会のモデル事業とはなりえないシロモノです。

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