研究会・講演会備忘録−印象に残ったひとこと−

 

No.15 燃料電池が拓くエネルギー新時代 2002・10・18  基調講演 古屋圭司前経済産業副大臣

日経環境フォーラムシンポジウムが大阪国際会議ホールで開催されました。

<これが会場です。駅からの桜並木がたぶんきれいだろうと推測できる場所です>

 古屋圭司前経済産業副大臣の基調講演燃料電池が拓くエネルギー新時代(当日のプログラムでは「産業・エネルギー政策から見た燃料電池の位置づけ」となっていました)が最後にありました。

  基調講演がなぜ最後かというと、当日開催された臨時国会で文部科学委員長に任命された古屋衆議院議員は、名前の呼び上げ時に起立しておじぎをしなければならなかったからだそうです。その10秒のために出席して、小泉総理の施政方針演説も聞かずに新幹線に飛び乗って大阪に来たとおっしゃっていました。多忙な代議士さん!

 松下電器産業、積水化学工業、日産自動車、コスモ石油といった会社で燃料電池の開発に携わっておられる方々のプレゼンテーションも聞き応えがありましたが、一番の出し物は平成14年5月27日副大臣会議燃料電池プロジェクトチームが発表した報告書です。

  なんとタイトルは〜日本発プロジェクトX「地球再生のためのエンジンを開発せよ」〜です。 中島みゆきのテーマソングとお涙ちょうだいのナレーションが聞こえてきそうです(^。^)。

  技術面・コスト面ではまだまだクリアすべき壁は高そうです。でも、来年早々には燃料電池車の第一号がリースされます。この第一号燃料電池車はすでに官邸にリースすることが決まっているそうです。値段は1億300万円(燃料電池が1億円、本体が300万円)だそうで、買い取りは無理。しばらくはリースにするそうです。

<このように低燃費車がいっぱい展示されていました>

 家庭用定置式燃料電池は1キロワット・50万円をめどに2004年くらいには販売予定だそうです。熱も利用できる燃料電池はエネルギー利用効率が70%と高く、1年間で電気代が5万円は節約できるそうです。寿命は10年。50万円の投資で環境にやさしい買い物ができます。

 太陽光発電(平均3キロワット)は200万円前後ですから、太陽光よりはずっと安上がりです。でも、電力会社に売電するほどの電力供給はできません。

 売電でき、目にみえる太陽光とちがって、メリットが実感できないところが普及のネックになるかもしれないとのことでした。  現在は都市ガス利用を考えているそうです。でも、日本の95%は都市ガスが利用できない地域です。ゆくゆくはLPガスで利用できるようになると離島僻地での利用促進=電力自由化にもつながります。

 最後に古屋議員が言われてましたが、現在の技術では日本のエネルギー政策は原発13基増設というように原子力に依存せざるをえない。しかし、燃料電池が実用化されるとエネルギー政策もかわってくる。そのためのインフラ整備等、政府の政策を従来型の公共工事中心からかえる必要があるとのことです。

 原子力推進=中央集権、燃料電池=地方の時代、という構図になりそうです。

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