研究会・講演会備忘録−印象に残ったひとこと−
No.17 ノーベル賞・小柴さん特別記念講演〜若い世代へのメッセージ〜 2003・1・11
<自分で考えて考えて考え抜くこと。実際に自分でやってみることによってやりたいことを見つける>
1月11日に高松市でノーベル賞受賞後初の講演がありました。なぜ、高松市かというと長男の俊さんが香川大学工学部教授で、そのツテで実現したそうです。最初は学内でということだったそうですが、共催したいという申し出が多くて高松市で一番大きいホール(2000人収容)での開催となりました。3階席まで満員。立ち見が出るほどでした。
この写真ではわかりにくいですが、右端のソファ席中央が小柴先生。右側がご子息の小柴俊先生、左側が工学部長の先生です。
このシンポジウムの本来のテーマは「目指せベンチャーアイランド」〜大学発VB成功の条件と産学官連携の可能性〜というものでしたが、小柴先生の特別記念講演が終わるとゾロゾロと帰る人が続出でした。
大学発ベンチャーで初のマザーズ上場を果たした大阪大学の森下竜一先生の基調講演やその後のパネルディスカッションもそれなりに面白かった。最後のパネルディスカッションになると半分くらいしか残っていませんでした。でも大学もいろんな試みをはじめているようで面白かったです。
なんといっても、小柴先生から若い世代へのメッセージを素晴らしかった。
講演はストックホルム大学でのNobel Lectureをそのまま使って日本語で行われたものです。話し方は分かりやすいのですが、当然、ニュートリノが何かすら知らない者にとっては???でした。
講演後のフロアーからの質問は高校生の質問だけでしたが、これがすごかった。「ニュートリノはどのように応用できるか。電子顕微鏡のように利用することは可能か」という質問です。質問の趣旨はこの通りなんですが、その論理立てた質問の仕方がうまい。これが高校生の質問ってびっくりしてしまいました(エレベーターのなかでどこかの大学の先生らしき2人連れの人たちもほめまくっていました)。 この高校生はすごい能力を秘めている人なんだろうなって思いました。このような場所で質問できる勇気、そのうえ、質問の中身が素晴らしいのですから。
若い人へのメッセージとして印象に残った言葉は、次のふたつです。
@「新しいことを自分でやるとき、確実なものはわからない。勘を働かす必要がある。勘は本気で磨くことによって当たりがよくなる。考えて、考えて、考え抜くことで良くなると信じている」
A「自分が本当にやりたいことを見つけるにはどうしたらいいか。それは自分でやって経験してみなければならない。おじけづかず、自分で試してみる。自分で動かなければならない。」
若い人でなくても、いくつになっても勘を働かせることと、そして、自分でやってみることによって人生が開けると思います。