研究会・講演会備忘録−印象に残ったひとこと−

No.21  環境行政改革フォーラム・総会 〜「観客民主主義」から「主体的市民」へ〜 
          早稲田大学理工学部          2003・10・11〜12

  9月1日〜9日までカナダ・ノバスコシア州に脱焼却・脱埋立という廃棄物政策の現地視察に行きました。このスタディ・ツアーを主催したのが環境行政改革フォーラムで、その総会が11,12日に早稲田大学理工学部で開催されました。

  形式は記念講演、一般発表、特別セッション、パネル討論と学会発表と同じ形式ですが、中身はフツーの学会とちがってNPOの人が多く、反権力って色彩を帯びていました。

  2日目の討論には国会議員の方2名、地方議員の方2名が参加されていましたが、民主党のマニュフェストが出たこともあってけっこう批判の矢面に立たされていました(でも、衆議院が解散された直後なのに、このようなフォーラムに参加される議員さんも大したモノです)。

  社会科学系の学会は政府の政策を批判することが多いのですが、それでも学者さんの発表は理論面からの批判なので、体をはって運動をしているNPOの方々の迫力ある発表はなかなか見応えがありました。

 「浜岡原発をいますぐ止めてください」と何度も会場から発言される方は絵に描いたような反対派市民って感じでした。

  テーマの「観客民主主義」から「主体的市民」へは言うのは簡単ですが、実践するのが難しいテーマでもあります。政治家や官僚、これに既得権をもつ業界がつるみあって古くなってしまった政策がいつまでたっても変わらない。一市民の立場では、無力間を感じ、かつ、閉塞感のうまれるところです。

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 一番、印象的だったのはRDF発電やガス化溶融炉の技術面での問題指摘です。

 循環型社会の形成という目標から考えると、雑多なゴミを必要とし、かつ、ゴミの発生を前提とするガス化溶融炉は推進すべきでないと個人的には考えていました。

 8月に起こった三重県のRDF発電所の事故や、各地のガス化溶融炉爆発事故にみられるように、技術面から問題の多いシステムだと分かりました。

 簡単にいうと、
@もともと欠陥技術だった、
A現場に技術のわかる人がいない、
B導入にあたりコストダウン競争が厳しかった、ということです。

 市場獲得合戦が厳しいことは、コスト縮減につながり、事故多発とは背中合わせになっているそうです。  マテリアルリサイクル(アルミや金属が回収されるが、ただ同然の値段。溶融スラグは使い道がない)だの、サーマルリサイクル(発電ができる。ただし、効率は悪い)推進だのの美辞にかくれて、むやみにガス化溶融など推進すべきではないのです。

 日本は燃やすことが好きな国です。死体もトーゼンのように燃やします。 実は私も畑がいっぱいの田舎育ちなので、子供の頃は野焼きを見るのが大好きでした。随分、ダイオキシンを吸収してしまっているのかもしれません^^;  

 でも、昔は生ゴミは畑に捨てるか、埋めるかしていました。天然の肥料になっていたのでしょう。いま、はやりのコンポストを実践していたのです。  ここ数十年で、なにもかもゴミにしてしまうゴミ天国になってしまいましたが、昔はリサイクル社会だったと実感します。

 「燃やすのは原始社会の遺物」というより、リサイクル・リユースする習慣は捨ててしまって、唯一燃やす習慣だけを残してきたって気がします。それもだんだんめんどうくさくなって、ガス化溶融技術という鉄を燃やす技術を使って、なんでも燃やしてしまう。

 雑多なゴミの発生を前提として初めて存在する技術が「持続可能」なはずはありません。

 いくらゴミ処理ばかり考えても、ゴミの排出抑制につながる方法を考えない限り、「いたちごっこ」の繰り返しです。製品自体をリサイクルしやすいもの、リユースしやすいものに変えていく必要があります。そのためには数百億円もする(大部分は補助金)ガス化溶融炉などむやみに推進すべきではないと思います。

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