研究会・講演会備忘録−印象に残ったひとこと−

No.5 司法制度改革を考える「国民のための司法と法科大学院の役割−司法制度改革がめざすもの」 中坊公平
 神戸大学法学部第2学舎−2001128日−

 <改良の先に改革はない>

 このシンポジウムは「司法制度改革がめざすもの」というテーマですが、同時多発テロの原因から始まって私たちのあり方に至るまで聞き応えのある基調講演でした。

 弁護士という実務家の方なので、現状から実現可能な改革という方法をとられるのかと思いきや、改良の先に改革なしだそうです。高い理念から現場を直視しなければならない。How文化から Why文化へということでなぜ(結果から原因)と考えることから始まるそうです。着手先行型を排してあるべき姿を実現するための論理を考えるそうです。これはBの枝廣さんがビジョンとマネージメントという言葉で表しているのと同じだと思います。

 豊島事件で1993年に豊島の住民に弁護団長を頼まれたとき、中坊さんも住民も「完全撤去は不可能と思う、それでもやる」と始めたそうです。その原動力は住民の子孫のための気持ちで、それが世の中をかえた原動力になりました。

 地球環境問題の現状と暗い見通し、自分個人の力のなさを考えあわせると無力感だらけです。でも、子供たちの世代のためにというビジョンははっきりしているのだから、あとは方法・手段をどうしていくかのマネージメントだけです(これが難しいけど)。

 最後に一燈照隅、万燈照国と言われました。一人一人ができることは小さい、限りがある。でもみんながやれば改革ができるということです。

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