研究会・講演会備忘録−印象に残ったひとこと−

No.7  2002年の日本経済を透視する  元NHK米国総局長  日高義樹
     −2002
128日 高松商工会議所−

 <エンロンは詐欺事件> 

 キッシンジャー元国務長官のお友達らしい(テレビで拝見する限りでは)日高さんは日本の閉塞状態をどう見ているんだろうかと新春経済講演会を聞きにいきました。1時間半にわたって持論の「小さい政府」論を述べられました。わかりやすくそれなりに納得できる点も多かったのですが、アメリカは日本のお手本になるのかなって点が最大の疑問でした。印象的だったのは会場からの質問。

 どの講演会も質問がないと寂しいし、かといってつまんない質問だと興ざめ。この日はある女性の方が「エンロンの破綻について、そして、なぜ監視システムが機能しなかったのか」という点について、別の男性の方が「日本にデフォルトが起きる可能性があるか」について質問しました。これらの質問に対し、「ほぉ、高松の方は東京より高度な質問ですなぁ」とおっしゃいました。はやり東京が中心で地方は下だと思っているんだなって、笑いながらも一瞬むっと感じました。

 環境がらみの話題ではやはりエンロンの破綻でしょう。規制緩和の申し子のようにいわれましたが、日高さんにいわせるとエンロンは詐欺事件で経済活動ではないとのこと。ケネス・レイ前会長は合併やデリバティブという古典的な方法を使って買収に買収を重ね、帳簿上ではGEと同じになった。株価が5,6ドルだったのが90ドルになったところで友人に会社をゆずった。株を売るために作ったインチキ会社とのこと。こわいのは資本主義の仕組みはだまそうと思えば簡単にできるシステムだってことだそうです。

 政界の献金疑惑でアメリカは大揺れですが、日本の銀行のやり方はエンロンよりもっとひどいそうです。銀行は株価をゼロにして=全てつぶして国有化するしかないと言われました。銀行の不良債権はそれほどひどいのですか?銀行に縁がないもので全然知りませんでした。

 日本にデフォルトが起きるかどうかは通貨の信用度にかかっているそうです。そして、それは小泉さんがやめるかどうかにかかっているそうです。田中外相の更迭問題でいま小泉政権はピンチ状態です。3月危機説が本当になったら?こわい話ですが現実味があるのが一層こわいところです。

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