消費者がかわらなきゃ!!

No.13 新エネ特措法〜廃棄物発電〜

  再生可能エネルギー発電をもっと、もっと増やさなくちゃということで「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(新エネ特措法)」が、2002年6月の国会で成立しました。難しい名前の法律ですが、簡単にいうと一定割合の再生可能エネルギーの購入を電気事業者に義務づけて、2010年には(政府のいうところの)新エネルギーを1%まで増やそうという法律です。

 この法案に対し、反対するNGOも多いです。国会での審議の様子は http://www5b.biglobe.ne.jp/~change-c/ratifyJ.htmlにあります。なぜ反対するかというと推進の対象となる「新エネルギー等」のなかに風力、太陽光、地熱、小規模水力、バイオマスに加えてゴミ発電も対象となるかもしれないからです。

 これら6種の対象エネルギー源のなかで一番安いのはゴミ発電なので、風力や太陽光の推進どころかゴミを必要とするサーマル・リサイクルの推進になってしまうおそれがあるということです。

 物質へとリサイクルするのがマテリアル・リサイクルですが、リサイクル市場が開拓されないなどの限界もあります。リサイクルには多くのエネルギーが必要ですし、グリーン購入がなかなか進まない。

 燃やして熱として利用するのがサーマル・リサイクルです。容器包装リサイクル法ができて、プラスチック類も分別収集されるようになりました。あのゴミ収集車の行き先はご存じでしょうか?1カ所に集められ、圧縮された後、多くは鉄鋼業における高炉やコークス炉での還元剤、ガス化による化学工業の原料として利用されているのです。

 ガス化溶融炉という千数百℃以上の高温で燃やし、無機物を溶融し、無害な粒状のスラグにする炉の話をを聞いたことがあると思います。ダイオキシンが少ない点では望ましい。 例えば車のシュレッダーダストはこれまでは埋め立て処理をしていたので、サーマル・リサイクルをするだけでもベターだという意見もあります。

 でも、サーマル・リサイクルを推進するのは処分場逼迫問題と関連があります。シュレッダーダストは廃棄物処理法の改正により管理型処分場での処理が義務づけられましたが、処理費用の高騰からサーマルリサイクル推進という面があるのは否めません。

以下、ISO監査員の方の意見です。

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サーマルリサイクルは、リデュース・リユース・リサイクルの3つの方法ではどうしても処理で きないものに対しての止むを得ない対応方法なので、当然それらより劣ることに なります。 では、何が劣るのか?ですが、リデュースは元々製品の設計段階でその製品を生 産する時や使用する時に使う材料やエネルギーを少なくすること、リユースは製 品を廃棄する時に捨てないでクリーニングや点検してそのまま使うこと、リサイ クルは廃棄する時に捨てないで材料へ一旦戻してから使うこと、です。

ガス化溶融は製品を廃棄する時に製品をエネルギーを作る原料として使う点が劣 る原因になります。つまり、上記3つの方法よりも更に資源再利用効率が悪いっ てことです。その製品をガス化溶融して取り出せるエネルギーは、その製品の原 料から取り出せるエネルギーと同じかそれ以下となりますので、資源再利用効率 としては最悪です。 その意味では、リサイクルも材料へ戻して使うので、その次に資源再利用効率は 悪いのですが、ガス化溶融よりは遥かに良いです。ですので、技術が確立されれ ばシュレッダーダストにしてもリサイクルへ、リユースへ、とより良い方へシフ トさせていくことになるでしょう。

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  循環型社会の理念からいうと、排出抑制(リデュース)が一番大事だと思います。一方で、国際競争力のなくなった重厚長大型産業(▲▲鉄鋼など)は廃プラ発電やガス化溶融に参入したい気持ちもわかります。でも、あまり多くなると分別収集も排出抑制も不要でゴミが足りないということになってしまいます。

 従って、むやみに廃棄物発電をうながすべきではなく、マテリアルリサイクルを推進する取り組みが必要でしょう。(2002・9・5)

 

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