消費者がかわらなきゃ!!

No.16 農業の未来〜農地法の改正と農業の二極化〜

  食糧自給率は落ちるばかり、農業に従事する人は少なくなるばかりで日本の農業の未来は真っ黒って感じです。田舎で農業に従事している人は60代が主流です。40代すら若い世代になります。サービス業や製造業は衰退しても何とかなりますが(最低限、飢え死はしない)、農業が衰退してしまって、食糧輸入がストップしてしまったら日本はどうなるのでしょうか?

 どんなに頑張っても食べずに生きていける人間はいない。世界人口がいまだ増え続けている現状で、マルサスの人口論のようなことが起きて、将来日本の食糧事情が逼迫したらどうしましょう。庭の隅にイモを作って食いつなごう、そのためにはマンションではなく一戸建ての家を買おうと昔は考えていました(^^;)。

 一方で、有機農業は盛んで、無農薬にこだわる消費者も増えています。最近、農業について語る番組や新聞記事を多く目にします。農業法ができて、農業を就職のチャンスととらえる新卒者もいるそうです。一方で家庭菜園も盛んで、東京23区の貸し農園など順番待ちの状態だそうです。

 五反百姓といわれるように日本の農業は小規模経営が特色でした。そして、多くの人が離農して都会へといったのは農業では暮らしていけないからです。狭い、平地が少ないということで生産性が低い。米をつくっても収益につながらないから、都市近郊の農地は宅地として売った方が儲かるというのが現実でした。

 これからは農業も規模の経済を考えることも必要でしょう。農業法人として経営を考えていく視点が大事だと思います。そのためには農業への参入をしやすくする必要がありますし、農家のつくった農作物を農協に集めて流通にのせている現状の非効率の改善も必要でしょう。

  農地法という法律の土地取引の規制や農業への参入障壁も撤廃すべきでしょう。たとえば、定年退職後に1反規模で米を作りたい、相続で2反の田んぼをもらったので農業をしたい。でも農地法での農業従事者には認められない。農地を転売するにしても保護名目の規制がいっぱいです。農業にも規制緩和が必要です。

友人の農業青年(?)のメールです。
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> 農業委員の仕事にも関係してくるのが農地法の改正論議です。私も従来の「耕作者主 義」にこだわらず大胆に規制緩和するべきだと思っています。ただし農業という産業 は、企業の参入による大規模化だけで維持できるものではないとも思います。農業と は、職人的な要素も強いもので土づくり一つとってみても何十年もかけて土壌微生物 と友達になりながらというもので、家族経営が基本かなとも思います。

ついでに言え ば、私は「農薬=悪」とする無農薬栽培(私んちは有機栽培を長年実践していると自していますが、無農薬ではありません。)とかも嫌いですし、今流行りのイチゴの > 養液栽培などの工場化された施設園芸(温暖化を促進する要因の一つになっているし 、果物本来の味ができない。)も嫌いです。で昔ながらの果物の露地栽培にこだわっ てやっています。
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農業は職人技ですから、経済性だけで語れるものではありません。農地法は1952年に、戦前の地主制度を解体した農地改革の成果を守るために制定されたものです。農地の売買や農地以外への転用を厳しく制限し、農業を守る業法だったのでしょうが、いまや現状に合わない農業の規制法になっています。

耕作者主義というのは「土地を耕作する者だけが農地を所有できる」という考えです。大規模に参入したい農業法人の参入障壁になっているし、家庭菜園程度では農家と認められません。

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> 日本の農業は、グローバルにいえば、今色々出始めている東アジアでの自由貿易構想 の中心的な課題として、アジアの農業・食糧問題をどう解決していくのかという中で考えるべきだと思います。(温州ミカンもその味や品質からすれば、アジアにどんどん輸出していけるだけの競争力はあると思っています。)この取り組みと、国内での地産・地消システムの整備による域内循環経済の活性化という2本柱の中で産業とし ての地位を確保していくことだと思います。 そのために、多様な形での農業への新規参入を可能にしていくことが必要です。同時 に農地を荒廃させる乱開発は厳しくチェックすることも忘れずに。
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 今後、中国が農産物の輸入国になったら、そして日本の経済力が弱くなって今のように世界中から食糧を集めてこれなくなったら、日本は国内での自給自足生活にならざるをえなくなります。 都市部の農地はほとんど宅地に転用、田舎の農地は後継者不足で工作放棄地が増えている。

 でも、農業を見直し、自分で食べるものは自分で作りたいと願う人、農業をビジネスとして考えたい人たちも増えているのだから、土地を売買するにしろ、相続するにしろ、農地法の規制・縛りという障壁は撤廃すべきです。規制緩和して、もっと簡単に農業への参入ができるようにしてもらいたいものです。

 農業が仕事として成り立つための経営の拡大も必要ですし、他方で、あまりお金にならなくても食べるものを育てたい人の願いも叶えられる方向での農地法の改正を望みたいと思います。

 

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