消費者がかわらなきゃ!!

No.20 サーマル・リサイクル

 廃プラスチック等を燃焼し、プラスチックが持つ熱エネルギーを温水・蒸気・電力として、資源の有効利用をはかるのがサーマルリサイクルです。マテリアルリサイクルをするためのエネルギー源として「燃えるゴミ」を利用するものですが、製品を廃棄するときに、製品をエネルギーを作る原料として使うので、資源再利用効率はよくありません。

 循環型社会形成推進基本法によると、日本の資源循環は@リデュース、Aリユース、Bマテリアルリサイクル、Cサーマルリサイクル、D適正処分の順番です。この間にできた各種リサイクル法のなかで、家電リサイクル法容器包装リサイクル法では熱回収は除外されていました。

 ところが、7月に成立した自動車リサイクル法では再資源化としてマテリアル、サーマル両方を規定しています。経済財政諮問会議「循環型経済社会に関する専門委員会」(2001年11月)でも、サーマルリサイクルをマテリアルリサイクルと同等に位置づけ、廃プラ発電を推奨しています。  

 でも、サーマルリサイクルには排出抑制(リデュース)効果は皆無です。ガス化溶融炉が各地にできると、むしろ「ゴミが足りない」事態になります。  

 現在、自動車は75〜80%がリサイクルされています。1997年には通産省が「2015年以降すべての使用済み自動車のリサイクル率を95%にする」という「使用済み自動車のリサイクル・イニシャティブ」を発表、自動車工業会もリサイクル率95%を目指すという「自主行動計画」を策定しました。現在、コストの問題さえクリアできれば技術的にはほぼ100%リサイクル可能な段階になっているそうです。

 いま、合併特例法適用の〆切期限が近づいていることもあって市町村の広域合併がさかんに議論されています。一般産廃もダイオキシン問題があって大規模処分場の方が好ましいので広域処理の方向です。でも一般廃棄物は規模の経済が働く分野ではありませんし、雑多なゴミが必要なので、分別する必要がなくなります。「リサイクルしても販路がない」、「リサイクルが自己目的化している」という問題も企業が材料として使うことを推進すること等によって解決策は見いだせると思います。

 産廃は最終処分場逼迫問題(処理価格の高騰や管理型処分場の数が限られること、集塵飛灰中にダイオキシンが含有されること)により埋立量を減らすしかないので、サーマルリサイクルを推進しているという面があることは否めません。 

 少なくとも産廃に関しては可能な限りマテリアルリサイクルを推進すべきでしょう。安易にサーマルを推奨することはガス化溶融炉(産廃のガス化溶融はまだ実験工学の段階)の問題もあって好ましくないと思います

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