消費者がかわらなきゃ!!

No.25 容器包装リサイクル法と廃プラ発電 2003・6・16

 毎日出しているゴミ問題はやっぱりこだわりたいものです。 たぶんここ数年で多くの自治体の分別収集の方法がかわっただろうと思います。以前見学にいったことのある大阪・茨木市ではガス化溶融炉で処理しているので分別収集していませんでした。ガス化溶融炉は高温を保つ必要があるので雑多なゴミを必要とするのです。

 一方、ペットボトル、プラスチック容器、ガラス瓶、アルミ缶、スチール缶の分別収集をより徹底させてきた自治体も多いと思います。これは容器包装リサイクル法が施行されたためです。ペットボトル等の製造業者に回収費用を負担させることになったので、分別収集が徹底されるようになりました。でも、この法律によってペットボトルが回収量以上に増えてきたのも事実です。

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いまやペットボトルは大盛況で、350mlくらいの小さなお茶の容器までペットボトルになりました。そして、会議では目の前にこの小さなボトルと紙コップが用意してあることが多くなりました。これが環境関連会議だと「環境をホンキで考えていない、やる気のない集団」であるとの証明でもあります。
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 一般廃棄物は市町村の負担で処理をするのが原則ですが、容器包装リサイクル法ではこのコストの一部を企業に負担させることにしたので、市町村のコスト負担が圧縮され(でも、収集費用の額もずいぶん多いです)多くの市町村で単純焼却よりコスト的に有利なリサイクルを始めたのです。

 実際に企業がどのようにして負担しているかというと(財)日本容器包装リサイクル協会に回収委託料という名目でお金を払います。平成14年度でペットボトルの委託単価はキロ75円、廃プラでキロ82円です。この高いコストはまわりまわって、結局わたしたち消費者が負担しています。 そして、この日本容器包装リサイクル協会から実際の再処理処理事業者に再商品化実施委託料が支払われています。朝、ゴミ収集車で集められたプラスチック類やペットボトルなどはまとめて処理業者へと運ばれます。ここで一括して集められ圧縮された後はどうなるのでしょうか?

 以前、このような処理業者の施設を見学にいったことがあります。大規模に集められたプラスチックや瓶、スチール、アルミ缶は、「暑さにも負けず、寒さにも負けず」屋外で手作業で分別仕分けをされていました。そして、圧縮された後それぞれの工場に送られます。

 ペットボトルは95%以上がリサイクルされているそうですが(ボトルtoボトルリサイクルも開始されます)、冷凍食品の包みや包装容器などの「その他のプラスチック」は85%が高炉・コークス・ガス化などに利用されています。マテリアルリサイクル率は14%程度にすぎません。もともと石油製品ですから燃焼時には高カロリーが出ますが、化石燃料の使用を抑えるために安価な廃プラ発電を奨励することになってしまうのはおかしい話です。

 これが産廃の場合だと廃プラを発電等の燃料にするコストはキロ20円に抑えられます。一般廃棄物で容器包装リサイクル協会経由だと5倍以上のコスト高になっています。行政のムダと一般廃棄物と産業廃棄物に分けて処理する廃棄物処理法の欠陥ともいえるでしょう。  このままではト−タルのコストは数千億円にもなってしまいます。さすがにPETボトル業界も悲鳴をあげたのか「あけグチつきのスチール缶」飲み物が登場してきました。PETボトルの使用を抑えようと言う動きが出てきたのでしょうか。

 リユースの優等生は瓶です。ビンは10数パーセントは軽量化されたそうですが、それでも、カンよりは重くてなかなか普及しません。全国一斉に1瓶あたり50円くらいのデポジットでも導入しないことにはアルミ缶とペットボトルに取って代わられてしまいます。

 デポジットはできれば全国一斉くらいの広範囲で、そして、もったいないと思えるくらいのデポジット額でないと普及しません。現在は10円というのが多いですが、10円だとインセンティブになりにくい。最低限30円くらいにしないと意地でもビンを返して、お金を返してもらおうとは思わないでしょう。

  「容器包装リサイクル法」のおかげでペットボトル等の回収量はまちがいなく増えていると思いますが、それ以上にペットボトルやアルミ缶などの使用が増えています。このままでは「容器包装リサイクル法」は湯水の如くお金をかけたリサイクルだけが目的になってしまいます。リサイクルはエネルギー投入面では資源の節約になりません。

 循環型社会形成推進基本法の根本理念の第一の優先である発生抑制につながるような製品へと変えていく努力が必要でしょう。

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