消費者がかわらなきゃ!!

No.26 建設リサイクル法〜建設廃材の利用法〜    バイオマス発電、そしてケミカルリサイクル   2003・6・23

 近頃、建設業の方々と知りあいになる機会がありました。その方々の会社はパインを使った手作り・山小屋風オフィスです。オフィス内にあるデスクやラックなども手作りだそうでなかなかステキでした。でもこれらの材木は全て外国産だそうで、国産を使うことはほとんどないそうです。「バイオマス・ニッポン」のような追い風があるといいながら日本の林業を盛んにするのは大変です。  

 不況の影響もあっていまは新築よりリフォームの風潮があります。それはそれで望ましいことです。

 近頃の家屋はかつての黒光りのする大黒柱のある家屋と違って、吹けば飛ぶようなプレハブ建築が大部分で、30〜35年のローンが終わった頃には寿命という使い捨てマイホームが多いようです。

 家屋を壊すときに出る建設廃材は産廃総排出量のかなりの部分を占めています。これら建設廃材のリサイクルを推進する建設リサイクル法は2002年5月30日から本格施行されています。コンクリート・アスファルト・木くずの3種類(建設廃材の80%を占めます)は分別解体、再資源化が義務づけられています。

 ところがリサイクル施設が50キロ圏内になく、木材の再資源化が困難な場合には「縮減(従来通りの焼却・破砕処理のことです)」が認められているので、けっこう骨抜きの法律になっているそうです。

 建設廃材といっても大型ビルから個人の住宅までいろいろです。アメリカ風の爆破処理が必要な大型ビルの解体も大変ですが、個人の住宅の解体もまた、大変なのです。

 家の新築費用は惜しまなくても古家の解体費用はできるだけお金をかけたくないというのが人情です。業者側からすると、分別解体に十分なお金をかけるのは難しいのでミンチ解体に傾きがちです。

 古家を壊している現場を見ているとたいていはユンボを使ってぐちゃぐちゃに解体しています。これをミンチ解体といいます。

 古家に使われている木材もバイオマス資源ですから、これらを分別して集めバイオマス発電に利用するという方法もあります。「バイオマス・ニッポン」でもまず廃棄物系バイオマスの利用、そして間伐材など未利用バイオマスの利用を促しています。

 分別をきちんとして、古家の廃材が資源として利用できればいいのですが、いま、解体処理の対象となっている1960年代から1980年代前半に建てられた家屋は白蟻対策としてCCA処理がされています。CCAとは砒素・銅・クロムの頭文字で、CCAを含んだ建設廃材を燃やすと有害物質が排出されます。

 確かにバイオマスには時代の風が吹いていますが、廃棄物系バイオマスの利用も一筋縄ではいきません。バイオマスは広く薄く存在しているので収集費用がかさむのです。

 バイオマス利用方法としてマテリアル利用とエネルギー利用(サーマルリサイクル)があります。最近は工業用・燃料用エタノールを生成するケミカルリサイクルも試みられています。このケミカルリサイクルだと液層で処理するのでCCA除去が可能だそうです。

 戦後60年近く工業用エタノールは専売制のもとで管理されてきましたが、2006年4月以降自由化されることになっています。アルコール事業法で統括される工業用エタノールは化学工業原料、半導体工場、消毒用、洗剤工場に利用できます。燃料用エタノールをガソリンに10%程度混ぜて使用するとCO2排出抑制に貢献できます。10%程度の混合だといまのエンジンのままで使えるそうです。

 E10と呼ばれるガソリンはアメリカ全土にわたって奨励されています(シェアは約1割です)。日本でもバイオ燃料を促進する方針で、揮発油等品質確保法改正を03年度国会に提出する予定です。

   リサイクルの中ではまずマテリアルリサイクルが最優先ですが、販路がない、かえって高くなるという厳しい現実もあります。だからといって「マテリアルリサイクルは難しいから燃やしてしまえ」というのではなく、現実に即した効果的なリサイクルの方法が必要になります。   燃やしてしまうサーマルリサイクルは「おおいに問題あり」と思っていますが、BDF(バイオディーゼル燃料)やE10エタノール燃料としてバイオマスを利用するのは大いに推奨すべきだと思います。

 究極的には燃料電池車が望ましいのですが、1台1億円という価格では、庶民には手が届きません。せめて燃料を環境にやさしい燃料へと転換して「(環境にやさしくない)自動車を使うときの罪悪感」を取り除きたいものです^^;。

 

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