消費者がかわらなきゃ!!

No.33 自治体の独自課税広がる 〜ゆくゆくは税源の移譲を〜 2004・1・16

 全国の自治体で条例に基づく新税の導入があいついでいます。東京豊島区では放置 自転車税・ワンルームマンション税(ユニークさにおいて座布団一枚あげたいような 新税です^^;)という法定外2税の条例案が可決されました。2002年には東京都の宿泊 税や三重県の産廃税なども導入されています。

 もともと自治体が導入する独自の法定外税は導入手続きが難しかったのですが、2000 年4月に施行された地方分権一括法で新税が導入しやすくなりました。現在16種類あっ て、合計3600自治体が課税しているそうです。

 かつては青森県の核燃料物質等取扱税など核燃料関係の課税や熱海市の別荘等所有 税などユニークな独自課税がいくつかあっただけですが、現在は環境関係の新税が花 盛りです。

 2002年の三重県の導入を契機として産廃税を導入している自治体は現在のところ11 県にのぼっています。その他、福岡県太宰府市の「歴史と文化の環境税(駐車場税)」 や北九州市の「環境未来税」、岐阜県多治見市の「一般廃棄物埋立税」など環境税の亜 流・変形(?)もあります。

 環境対策費用を新税で捻出する(目的税化)のはわかりやすいのですが、いつも議論 になるのはこれらの環境対策税は目的を達成すればするほど税収が減っていく点です。

 もともと独自課税の動きが始まったのは、景気の低迷で税収がじり貧状態になって いるうえ、地方交付税も年々減っているという財政状態の逼迫が大きなインセンティブ です。

 ところがこれらインセンティブ環境税を導入してインセンティブ効果が大きくなれ ばなるほど、税収が減っていくことになります。

 自治体側としてはもっと安定した財源となる税収費目が欲しいところですが、所得 税や法人税、消費税(1%分は地方消費税ですが)のような税収が大きくかつ安定し た基幹税は国税となっているのです。  

 本当の「地方の時代」になるためには、自主財源が必要です。ひも付き補助金や交付金づけの財政状態で、本当の地方分権が望めるはずはありません。  

 所得税は国税です。その課税所得をそのままの課税金額として同時に住民税が課さ れています。この税率割合をかえるのも一案です。たとえば所得税の最高税率37%の場合、 地方住民税は13%ですが、これを30%と20%にかえるなどの方法です。

 あと、消費税を完全に地方税にする方法もあります。カナダでは付加価値税は州税 になっています。ですから州によって税率がちがいます。アメリカの小売売上税も州 によってちがいます。現在の消費税収は10兆円を超えます。所得税や法人税は景気 が悪いと減少しますが、消費税は景気に左右されることは少ないです。

 でも、消費税は増える一方の社会保険料財源としても虎視眈々と狙われていること もあって、地方税にするのは難しいかなってところもあります。消費税は安定した税 源で税率を変えさえすれば増税は可能なので、増えることはあっても減ることはない 税源なのです。

 このあたりは理論ではなく、最後は政治力ですから、なんともいえませんが、小泉 首相のお題目「三位一体の改革」のひとつ、地方分権を財政面でも推し進めて欲しい ものです。

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