消費者がかわらなきゃ!!

No.34 廃棄物処理法のヘンなところ〜一般廃棄物と産業廃棄物の区分〜 2004・1・20  

 さて「ごみ」の定義って何でしょうか? 「廃棄物とはなんぞや?」というと、「ごみ、粗大ゴミ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃 油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状また は液状のもの」というのが廃棄物処理法第2条第2号に定義している廃棄物の範囲です。

 「固形状または液状のもの」ですから、気体状のものは含まれません。そしてもっと 細かいお役所的な取扱では、「廃棄物とは、占有者が自ら使用し、又は他人に有償で売 却することができないために不要になったものをいい、これらに該当するか否かは、そ の物の性状、通常の取扱形態、取引価格の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して 判断する」というのが平成12年7月24日の厚生省水道環境部環境整備課長通知による 「総合判断説」が採られています。

 司法の判断はというと、「おからは産業廃棄物に該当する」という平成11年3月の 最高裁判例があります(おから、大好きなんですけど、最近は食べる機会はあまりな いですね)。 おからの処理業者の意思のみならず、おからが非常に腐敗しやすいという性状、大部 分が無償で引き渡されているという通常の取扱形態等を総合的に勘案し、当該事案 におけるおからは産業廃棄物に該当する、と「総合判断説」を採用しています。

 このような抽象的な用語で説明すると分かりにくいのですが、簡単にいうと現在の 取扱では「無価のもの」を廃棄物として規制対象としています。

 「無価のもの」のうち、@車のシュレッダーダストや生ゴミなど焼却・埋立処分さ れるものはトウゼン、規制対象です。「無価のもの」でもA廃棄物であるがリサイクル されているもの(建設汚泥や廃液など)と各種リサイクル法によってリサイクルされて いるものも規制対象になっています。

 廃棄物処理法の規制の方が厳しいですから、Aの取扱方法はキーポイントになります。 たとえば、木くずや間伐材を燃やす最近ハヤリの「木質バイオマス発電所」を建設する とします。木くずは廃棄物処理法で定義される「有償で売却できないもの」にあたるの で、発電施設ではなく、廃棄物処理施設になってしまい、数千万円程度の追加支出や手 続きの変更が必要になります。

 それでなくても再生可能エネルギーの市場競争力は弱いのですから、このような過 多の規制はやめてもらいたいものです。

 廃棄物処理法の規制対象となる廃棄物は埋立・焼却するしかないものに限定し、無 価であってもリサイクルされているものは規制対象外とし、各種リサイクル法や資源 有効利用促進法の拡充によって適正管理する方が効果的じゃないかなって思います。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 もうひとつの廃棄物処理法のヘンなところは一般廃棄物と産業廃棄物に分離分割さ れていることです。産業廃棄物は事業者自らが処理しなければならないのに対し、一 般廃棄物の処理責任は市町村にあります。個人レベルでどんなに減量化につとめでも 全ての処理費用は税金でまかなわれるわけですから「減量化のインセンティブ」は大 きくありません。

 そのうえ一般廃棄物には事業系の廃棄物(事務所などからのゴミ)も含まれます。 どこまでが事業系の廃棄物か、どの程度の規模からが産業廃棄物になるのか(たとえ ば、工場と事務所が併設されている小さな事業所など)あいまいなところがあります。

 そして、家電リサイクル法や容器包装リサイクル法など各種リサイクル法によって リサイクル推進が求められる世の中になっていますので、分別収集費用などの負担 が市町村にのしかかることになります。

 2003年の廃棄物処理法の改正で「これら廃棄物の定義が見直されるのでは?」と期待 されていたのですが、抜本的な改正は見送られました。官僚主導ではドラスティック な改正はなかなか難しいようです。

<< 前へ ====次へ>>

「消費者がかわらなきゃ!!」の目次へ戻る