消費者がかわらなきゃ!!

No.35 2015年の自動車リサイクル率目標95%! 〜でも、サーマルリサイクルを含んでる!〜 2004・1・21

  さてと〜、2002年7月に自動車リサイクル法が成立しました。本格施行されるのは 2005年度からですが、施行するための詳細マニュアル(?)である政省令が2003年 7〜8月にかけて交付されました。

  リサイクル法というのですから、廃棄自動車のリサイクル=「再資源化」をめざした 法律です。で、めざすべき到達点=リサイクル率は2015年で95%というのが目標値 です。

  使用済み自動車は年間約500万台排出されます。中古輸出分をのぞいた400〜450万台 が解体リサイクルの対象になっています。よく不法投棄が話題になりますが、最終的 には使用済み自動車の99%が回収・処理されています。

  現在のところ、重量比で約75%〜80%はリサイクルされています。残り20〜25% (シュレッダーダスト、フロン、エアバック)のリサイクル率を高めるために、リ サイクル料金(2万円程度)を前払いで預かります。このお金(推定1兆円)は巨 大な資金管理団体(指定法人)に管理させます。 以下は(社)日本自動車工業会の使用済み自動車のリサイクルフロー概要です。

http://www.jama.or.jp/eco/wrestle/wrestle_6g1.html

従来埋立処理されていた25%部分を不燃物と可燃物に分別します。可燃物は減容・固 化して固形燃料化するもの、埋め立てするモノ、乾溜ガス化するものに分かれていき ます。

 乾溜ガス化というのは、要は、ガス化溶融して、ガス利用または熱回収利用するこ とです。 この乾溜ガス化などのサーマルリサイクルをカウントして2015年にリサイクル率 95%をめざすというのが昨年7,8月に決定した政省令の内容です。

 2003年12月に改正されたEUの「包装廃棄物指令」でもリカバリー目標60%に 焼却によるエネルギー回収を含むことができるとサーマルリサイクルを含めていま す(もっとも欧州司法裁判所はエネルギー回収はリカバリーに該当しないとの判決を 下していますが・・)。

 確かにどんなにマテリアルリサイクルをすすめても、サーマルリサイクルをカウント しないことにはリサイクル率95%には到達できないだろうと思いますが、一方で、サ ーマルを含めてまでリサイクル率という数値目標を達成する必要があるのかなぁとい うギモンもわき起こります。

 現在でもリサイクル率が75〜80%となっているように自動車のリサイクルルートは けっこう確立しています。バッテリーなどは回収ルートが定着しているので、鉛やケ ースの樹脂はほぼ100%リサイクルされています。年間1億6000万本発生する廃タイ ヤも重量比リサイクル率は90%に近い「リサイクルの優等生」です。 いままでシュレッダーダストとして埋立処分していたガラスのリサイクル技術も進 められています。

 従来、1車種で20種類近くあった樹脂の素材を統合する、取り外し しやすい部品にかえるなどリサイクル性を高める試みもされています。本当にすすめ るべきはこのようなリサイクル容易化設計、長寿命化製品の開発などではないでしょ うか?

 政省令によると「シュレッダーダスト投入施設活用率」が0.4以上のレベルだと自動 車メーカーがリサイクルの体制に組み入れる施設として認められることになっています。

 シュレッダーダストのリサイクル率の目標は2005年以降30%以上、2010年以降50% 以上、2015年以降70%以上となっています。70%以上となった時点でリサイクル率95 %になる見込みです。

  リサイクル率を上げるためにそれほどサーマルを推進していいのかな? サーマルリサイクルの定義も曖昧なままです。曖昧ついでに「サーマルはリサイクル 率にカウントしない」なんて政省令を作って欲しいモノです(*_*)

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