消費者がかわらなきゃ!!

No.42 認定NPO法人〜0.1%の特例〜2004・5・4

 
  <一度閉鎖したテーマパーク。今春よみがえりました>

 「認定NPO法人」という制度があります。「認証NPO法人」と間違えそう な名前ですが、全然違う制度です。認証NPO法人というのは5年前に出来た特定非 営利活動促進法(NPO法)に基づいて、都道府県の認証を受け、法人格を取得した 団体のことです。約5年で16,160法人になりました。現在も月あたり500件単位で増えているそうです。 国税庁の認定NPO法人についてのサイトは http://www.nta.go.jp/category/npo/npo.htm
認定NPO法人は平成16年4月27日現在で23法人です。
http://www.nta.go.jp/category/npo/04/01.htm

分母となる認証NPO法人の数は3月31日現在で16,160法人ですから、認証NPO 法人のうち、認定NPO法人になる確率は0.0014232・・・・ 0.1%ということになります。

  特に東京都はNPO法人設立ラッシュで、相談予約を入れるだけで1ヶ月半〜2ヶ月 かかるそうです。結果として、設立の意思決定をしてから設立当期が完成するまでに 最低8ヶ月前後はかかります。今後もこのラッシュ傾向は続きそうで、5万法人程度 まで達するんじゃないかと推測されています。

  これらの認証NPO法人のうち、国税庁の定める要件を満たし、公益性が高いと認め られる法人が認定NPO法人です。認定NPO法人になると @寄付をする側の個人は特定寄付金として寄付金控除を受ける(税金が少し安くなる) ことができます。また、寄付をする側の法人は特定公益法人と同様に一定額まで損金 算入(経費にできる)ができます。

  一方、寄付を受けるNPO法人側は「みなし寄付金」制度を利用することができます。 このみなし寄付金制度は公益法人や宗教法人などに認められている制度です。実際に 現金預金の支出をすることを要件として、「収益事業」から「収益事業以外の事業」 へ所得の20%まで損金算入を認めるという制度です。なかなか有利な制度です。

  これら寄付をする側の個人や法人、寄付を受けるNPO法人側、どちらにとってもお いしい制度ですが、前述したように認定されている法人の数はわずかばかりです。 なぜ、少ないかというと認証を受けるためのハードルが高いからです。そして、一度 認定を受けても認定期間は2年しかありません。常に要件を満たして、申請し続ける 必要があります。

  平成15年度の税制改正で認証の要件が緩和されましたが、それでもなお、高いまま です。要件は以下の4つ。1番目の要件が一番難しい要件になっています。

@広く一般から支援を受けているか?
 *具体的には収入総額の5分の1以上が寄付でないといけない。多数の寄付者が必要。
A広く一般を対象とした活動を行っているか?
 *特定のプロジェクトだけではダメ。
B事業・組織等に関し、適切な情報開示や適正な運営等がされているか?
Cその他国税の措置により支援する対象としてふさわしい活動か?

 補助金や会費では資金の原資が足りないから、寄付を増やそうというのに「特定人に 偏ることなく、広く薄い寄付をすでにたくさん受けている」という要件はどう考えて もおかしい。そのうえ、この五分の一という要件は平成18年4月以降三分の一に引き 上げられることになっています。

 これらは、財務省や国税庁側が認定NPO法人の数を増やしたくないと考えているから です。国税庁や財務省は国民のサイフから税金を預かって(?)、国のサイフを握っ ているところです。お金をコントロールできるから大きな顔ができる、サイフの中身 が減ることはしたくない、という面は否めません。各家庭だってサイフを握っている 方が強い(?)のは分かりきったことです。

  「本来は国に入るべき税金が任意に寄付金として出回ってしまっては困る」と考えて いる事情は理解できますが、今後の公益法人改革としては、公益法人の設立を容易に して「民にできることは、民に任せる」と考えているはずです。そういう方針なら、 NPOも含めた公益法人等の財務基盤を強くするための協力も必要でしょう。名ばか りの公益法人で、実体は国や自治体からの助成金や受託費をもらって運営しているので は、真の「公益」法人とはいえません。

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