消費者がかわらなきゃ!!

No.43 「公益」ってなに? 〜税務署は納税に無知な公益法人をねらっている?〜2004・5・7

  

 密かにというべきか、公然とというかべきか(?)、公益法人改革が進んでいます。 いまのところの予定では平成16年度末までに基本的枠組みを具体化して、平成17年度 末までに法制上の措置を行うことになっているようです。

  「公益」という言葉から何を連想されるでしょうか?「公益」、「共益」、「私益」 違いはどこでしょうか?

  「公益」とは「不特定かつ多数の者の利益」(受益者説)というのが通説です。でも あまりに抽象的です。そもそも民法34条は「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他 公益に関する社団または財団にして営利を目的とせざるものは主務官庁の許可を得て 之を法人と為すことを得」という抽象的な表現で公益法人を規定しています。 ??? と、頭をひねるはずです。

 個人的には祭祀も宗教も果たして公益かなって思います。 お寺などの宗教法人は税務上、とても優遇されていますが、これは公益性ゆえにでは なく、江戸幕府からかそれ以前からか、おそれ多くもお墓を守る、氏神様をまつって くださる神社仏閣に手を出しては行けない(たたりがこわい?)という慣習があった のではないでしょうか? 祭祀も地域のお祭りならまだ理解できますが、ご先祖様を祀るとなると果たして公益 といえるのかどうか?

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 なぜ、公益性の判断が大事かというと、いま進行中の公益法人改革では公益法人も宗 教法人も学校法人も社会福祉法人も、そして、ゆくゆくはNPO法人も中間法人も全て の枠組みを取っ払って「非営利法人」にしてしまって、原則課税にするようです。

  収益事業に課税というのは理解できますが、寄付金や補助金や助成金、会費にも課税? これら非営利活動を行うための原資にまで本当に課税するのでしょうか?それとも寄 付金や助成金は除いて会費にだけ課税するのでしょうか?

  これらのムチに対し、これらのなかで公益性が高いと判断された「非営利法人」だけ 優遇措置が認められる制度にかわるようです。「公益法人ひっくるめて全て原則課税ですよ」って先にいうと、改革ができないのでまずは民法の改正=法人格の取得が簡 単になるというアメから始めるようです。

  現在は主務官庁の許可をうけて初めて公益法人等となることができる「許可主義」ですが、それを「準則主義」(要件を満たしていれば認可される)にかえるので、法人化へのハードルが低くなりますよ〜なんてことで言葉を濁しているらしい。

 法人格の取得は簡単になる→(でもその後)原則課税とするようですが、さすがに全 ての非営利法人を課税処分にすることはできないので、「公益性が高い」と判断され た非営利法人は優遇措置を与える。じゃ、どのような機関がどのような基準で「公益 性」を判断するのか、ということが問題になっています。

 事業の内容からみて公益性を判断するのでしょうか?不特定多数の者の利益というの なら「難病患者のための募金活動」は公益性に該当しないのでしょうか?営利法人の受 益者だって不特定かつ多数の者です。  

 これまでの主務官庁の許可にかわって、公益性の判断をするための第三者機関のよう なものが設置される方向のようです(この判断機関を税務当局にするB案は4月末の会議で退けられました)。

 「公益性とはなにか?」という根本的な問題は神学論争になりかねないかもしれませが、通説以外にも「目的定義説」「控除説」「利他説」「パブリックサポート説」 「受益者提供説」などいろんな説があります。 この判断基準によってもたらされる影響は大きい。

 まだまだ本格的な議論が始まったば かりですので、「公益性とはなにか」について考え、公益法人改革、ひいては、NPO 法人改革を注視していきたいものです

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