消費者がかわらなきゃ!!

No.44 有償ボランテァアの限界 〜性善説は通用しない〜 2004・5・11

  

 偉そうなことを言える立場ではありませんが、「真面目に働く以上の美徳はな い」と思っています。デスクワークをしているとあまり仕事をしているという実感は ないのですが、スーパーの駐車場で交通整理をしているおいちゃんとか、道路工事を しているニッカボッカー(だぶだぶのズボンのこと。よく左官屋さんが着ている)に 地下足袋をはいた金髪のお兄ちゃんとかを見ると、「頑張ってね、タイヘンだけど真 面目に働くんだよ」って応援したくなります。

 もしかして不登校で、勉強がきらいで、高校中退で働いているのかもしれないけど、 それでも、いい年してフリーターをしている甘ちゃんや、卒業して何年たっても定職 につかない自称インテリとかに比べたらずっと素晴らしい、と思っています。

  石川啄木じゃないけど、どんな仕事であれ、働くことは、それなりにタイヘンで、 「じっと、手を見る」なんて落ち込んだ気分になるかもしれません。

 それでもきちんと定時間働いて、給料を得ているというのは「これだけで、いいじゃないの」と思えるほ ど人間生活の基本の基本、それだけで尊いことだと思います。

  ちかごろは主婦という立場も微妙で、社会的に下げすまれているのか、お気楽な身分 と思われているのか、辛いところがあります。専業主婦をしていた頃一番イヤだと思 ったのは、毎日それなりに家事等の仕事をしていても労働の対価がゼロってことです。

  同じように、けっこう力をいれて時間も労力も費やしてボランティア活動をしても無償では、所詮、生き甲斐にはなりません。そして、そのようなボランティアにエネルギーを注げる人はごくわずか、時間的にも金銭的にも余裕のある恵まれた立場の人だ けです。

  「労働の対価」を要求することは、「たかがお金、されどお金」ですが(お足のこと は言いにくいことではあるけど)、もっと主張していい大事なことだと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
No39に「NPO法人の収益事業その2〜流山ユー・アイ・ネット課税取消訴訟1審 判決〜」について書きました。

 流山ユーアイネットというのは公的介護とはひと味違 う「ふれあい事業」をしているNPO法人です。お年寄りが病院に出かけるのに付き 添ってあげたり、話し相手になってあげたり会員同士で助け合いをします。

 点数制の「ふれあい切符」(時間預託制度・地域通貨(エコマネー))を流通させ、 1時間のボランティアにつき800円になる8点が、利用者からボランティアをした側に渡されます。このうち6点600円が協力者に渡され、2点200円分がユー・アイ・ネッ トに渡されます。 ユー・アイ・ネット側はこの200円分を寄付と主張しています。

 ふれあい事業は有償ボ ランティア活動であり、非収益活動だと位置づけていましたが税務署側は「ふれあい 事業」は課税対象の家政婦業と同じく仕事の完成を目的とする「請負業」、800円はそ の報酬、200円は斡旋の報酬だと主張し、法人税の更正処分をしました。

 このNPO法人側の代理人は「さわやか福祉事業団」理事長で元検事の堀田力弁護士。 一審で全面敗訴となったので現在、控訴中です。

 「課税されては有償ボランティアの 意義が失われる。全国で同じような時間預託制度をとっているNPOのためにも負け るわけには行かない」旨の主張をされていました。

  「有償ボランティア」の意義のためには大いに戦って欲しいと思いますが、本来税務 署と争っていた課税処分については分が悪いと思います。NPO事業に付随する事業 として「対価を得て事業」を行っていたのだから課税対象だろうと個人的には考えて います。

  課税処分に関しては分が悪いけど(税務訴訟はほとんど税務署側勝訴なのです)、 「有償ボランティアの意義」を広く世間に認めさせるためには課税処分を争う意義は あると思います。

  ただ、本当に「有償ボランティア」の意義を世間に訴えるのなら時給600円なんて最低 賃金法違反のような時給の設定はやめてもらいたい。

 NPOはどこも苦しくて「安い賃金で」といのはわからないわけではありませんが 「NPOとしての理念」は素晴らしいのだから、薄給でガマンしてという性善説(用 語の使い方、適切でないかも^^;)は通用しない。「有償ボランティア」の意義を訴え るためにも世間相場を、生活できるレベルを各NPOとも考えて欲しいと思います。

<< 前へ ====次へ>>

「消費者がかわらなきゃ!!」の目次へ戻る