消費者がかわらなきゃ!!
No.48 京都市バス 2004・5・29
京都は方向音痴にもかなり分かりやすい街です。「縦と横」が碁盤の目になっています。 そして、地下鉄や電車が入り乱れている東京などの大都市と違って、市バスを利用す ることによってたいていの場所にたどり着くことができます。乗り換え不要の場合も 多い。
昼間、京都をうろうろしていると、京都には修学旅行生と観光目的のガイジンしかい ないのか、と思えるくらい。ギリシャのアテネ並に「観光で食っている街」でもあり ます。このような特異な街で運営している京都市バスは特殊なのかもしれなせんが、 市バスの運転手さんは信じられないくらい「親切の固まり」(=営利体制を無視して いるともいえますが)です。
20年くらい前、市バスを降りるときに小銭がなかった。運転手さんもおつりをもって いなかった。「次、いつでもいいから京都にきたときに払ってや」と言われました。 そのときはびっくりし、かつ、感謝しましたが、そのまま20年くらい忘れていました。
数日前、同じような経験をしてこの20年前のことを思い出しました。 500円で「一日乗り放題」というチケットがあるのですが、小銭がなかった。運転手さ んもおつりがなかった。一回分の運賃の220円は持っていたので、バスから降りるとき に220円を払おうとすると、「次のバスに乗ったときに500円券を買ってもらったんで いいですよ。いま、220円払うと損だからね。次のバスでは小銭を用意してね」と言わ れました。
他の街でこういう経験をしたことがないから、京都市バスが特殊なのか、「小銭をも っていない観光客は親切に接しよう」という社内規定があるのか(^。^)、感謝と驚きが いまだに同居している状態です。
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京都の人は単に「市バス」とよんでいる京都市交通局の京都市バスは「地球にやさし い低公害バス」を6台導入したのを始め、いろんな政策を実施しているようです。
http://kyoto.fc2web.com/b-teikougai.htm
菜の花を栽培して菜種油をつくり、その廃油を利用してBDF(バイオディーゼルフーエル)利 用を促進したい、と見果てぬプロジェクトに夢を託しているワタクシにとっては「京 都市バス」というと「BDFの課税論争」を思い起こします。 以下は京都市交通局のBDFバスの説明です。
★BDFとは「バイオディーゼルフューエル(Bio Diesel Fuel)」のことで、実際には生 きた燃料という意味だが、バス業界では食用廃油を燃料としたバスを指す。環境に優 しく、またリサイクルという観点からも研究が進められている分野。
★家庭や店舗などから排出される使用済み天ぷら油を回収し、これをろ過。不純物を 取り除くため、燃料として利用できる部分はほんのわずかである。
★市バスでは平成9年から西賀茂営業所の中型車を使用して実験が進められ、のちに 大型車の実験期間を経て、平成11年以降から横大路営業所の車両を順次BDF対応とし ていった。
★実験期間中は純正BDFのみの使用だったが、横大路で使用する際には軽油混合の燃 料とした。この混合燃料を課税にするか非課税のままにするかで論議されたことも、 記憶に新しい。
★市バスでは現在、横大路営業所のCNGを除く全車が、このBDFと軽油の混合燃料を 使用している。
バイオ燃料は一酸化炭素や黒煙の排出は少ないのですが馬力が出ないので軽油8に対し、 バイオ燃料2の割合で混合して使っていました。バイオ燃料は軽油と成分が異なるの で軽油引取税(都道府県税)はかからないということを府税事務所に確認したうえで、 使い始めたのに府税事務所が「これまでの解釈に誤りがあった」として方針転換を伝 えてきた事件です。
軽油取引税は1リットルあたり約32円ですから、税負担額は大きい。課税されるとそ れでなくても経済性のないバイオ燃料は採算に合わなくなります。
この京都市バスの例では「全国が注目しているから」という市長の決断で市バスへの 使用を再開したそうです。市バスだからできたのかな?民間バス会社なら「採算にあ わない」として即中止していたかもしれません。
いま、全国的に菜の花プロジェクトが展開され、バイオディーゼルやエタノールの利 用が進められています。
菜の花議員連盟も結成され、『「バイオ燃料にも課税」という方針は転換されるらしい』 と2年ほど前から小耳に挟んでいますが、いまだ変わっていないようです。
取る側にとっても、使う側にとっても、税制の果たす役割は本当に大きいです。 既得権にはばまれて、「創意を摘んでしまう税制」になってしまっては困ります。