消費者がかわらなきゃ!!

No.49 綾歌町の廃棄物会計 〜ゴミ分別で節減、容器包装リサイクル法の矛盾〜  2004・6・8

  香川県綾歌町というのは一度閉鎖した「レオマワールド」というアミューズメント 施設がこの4月に再開したばかりの人口11,000人程度の長閑な町です。 http://www.town.ayauta.kagawa.jp/

 その綾歌町住民課と香川県廃棄物対策課が協力して、ごみ処理費用の推計と分析 (廃棄物会計)を行いました。 http://www.pref.kagawa.jp/kankyo/data/0404/040406b1.htm
詳細な報告書は以下です。
http://www.pref.kagawa.jp/kankyo/data/0404/haikibutsu.pdf
地元の四国新聞でも5月31日に取り上げられました。
http://www.shikoku-np.co.jp/news/administration/200405/20040531000091.htm

 報告書を簡単にまとめると以下のようになります。

@綾歌町のゴミ処理費用はひとりあたり9450円(1トンあたり48,000円)。

Aゴミ処理費用は品目によって大きな差があります。最も安いのは「新聞・広告」 の8,000円/トン。最も高い「電池」は164,000円/トン。500ミリリットル容器1本 あたりではペットボトル4.6円、牛乳パック0.3円、びん10.4円になります。

B分別収集をすることによって1割お得になっています。年1200万円、人口ひとり あたりでは1080円です。

★C容器包装リサイクル法の対象品目の処理費用では、町の負担(税金)が3/4 です。対象品目のうち町の負担と事業者の負担割合は73:27です。

D生ゴミの水切りは意外と重要。可燃ゴミに含まれる水分処理のため2120円(総費 用2400万円)払っています。

E有料込み袋の代金は処理費用の5%にすぎません。ゴミ処理費用をゴミ袋販売代 金でまかなおうとすると1袋を現在の50円から900円にする必要があります。

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 これらのうち、★C容器包装リサイクル法によって、発生抑制ではなく市町村の負担 が増えるばかりになっていることを取り上げてみます(実はこのゴミ処理費用の推 計は、容器包装リサイクル法の矛盾を実証するための分析なのですが・・・)

 容器包装リサイクル法では(a)消費者は分別して排出すること、(b)市町村は分別収集 をすること、そして(c)事業者はリサイクルの責任を負うことになっています。

 このなかで(b)市町村の分別収集にかかる費用が税金でまかなわれていることから、 発生抑制効果がないことはよく批判されている通りです。

  ビン類は販売元に返してリユースをするのが本来の循環型社会のはずなのに、リユ ースにふさわしいビンの使用自体が減っている。そして、ビンもペットボトルも缶 も一緒に出してしまうのでビンが収集途中に割れてしまう。そしてカレットとして 使われているだけなのが現状です。

 ペットボトルもペットボトルとしてリサイクルされる分はごくわずか。マテリアル リサイクルしても用途が限定されています。サーマルリサイクルとして石油の代わ りに使われるのは重宝されているようですが、これも困ったモノです。

  以前は500ミリとか300ミリのペットボトルの使用はそれほど多くなかったのに今 は軽くて便利なペットボトルがビンを淘汰しつつある、憂うべき状態です。

 これをどうやって変えることができるか?それは運搬収集の費用も含めた後処理費用(原発のバックエンド費用みたい?!)をすべて事業者に負わせることです。

  それは商品廃棄後の全ての費用を含めて価格に内部化することです。「内部化」って難しい言葉ですが、要は買った消費者が商品の価格に含められた処理費用を負担すること。税金だと使わない人にも負担してもらうことになって、使わないでおこうという「動機づけ」になりません。

  容器包装リサイクル法によって事業者にはリサイクルの責任があるといいながら、 一番費用のかかる分別収集は市町村の負担なのですから(=事業者が得をしている)、 本当の「拡大生産者責任」とはいえません。

  いま、容器包装リサイクル法の見直しがすすめられています。本当の拡大生産者責 任といえるように全ての処理費用を事業者の負担とし、それを使う消費者が製品の 価格を通じて負担するようにする方がずっといいと思いますが、いかがでしょうか?

 もちろん、国レベルでのデポジット制度の導入が大事なもうひとつの柱であること はいうまでもないことですが。

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