消費者がかわらなきゃ!!

No.50 経営能力のないNPOはどうする? 2004・6・10

 民法34条に基づく財団・社団の数は100年かかって(民法が成立して約100年)26,000 程度です。特別法による公益法人である学校法人が7800、社会福祉法人が18,000、宗教 法人が約18万です。

 一方、1998年に成立したNPO法に基づくNPOの数は約16,000です。 お寺ごとに宗教法人になるという宗教法人の数には及びませんが、NPO法人が雨後の 竹の子の如く増えているのは間違いなさそうです。

  NPOも大きな枠組みでくくると公益法人等に含まれます。公益法人というと「税金を 使って官の下請けをやっている非効率な外郭団体」「課税逃れのうまい坊さんが駐車 場を経営する宗教法人」「役員は天下りばかり、予算を全て使い切ってしまうことを 至上命題とする社会福祉法人」という風にあまりいいイメージはありません。

 ところがその親戚筋にあたるのにNPO、NGOといえば「善意の団体」のようなイ メージがあるのはどうしてでしょう?清貧のボランティア団体ってとらえられているせ いでしょうか?

 でも、清貧のNPOがいいはずはありません。経営能力のないNPOは認証など受けに、任意団体(権利能力なき社団)の仲良し倶楽部のままでいるべきであって、いっ たん認証を受けて法人格を取得した限りは「団体としての同一性を保ちつつ生き残って いく方法」を考えていく必要があります。

 「悪のルーツ」「経営能力なし」という「負のイメージ」を与えている公益法人でも 活動規模10兆円のうち、事業収入が約半分です。あと受託収入が25%程度、助成・補 助が10%、会費収入・自己収入が10%程度となっています。

 NPO法人は助成金や受託収入が受けにくい。ゆえに、これらの税金から流れるお金を 少なくすることによって民間性・独自性をキープしようとすればするほど、自主財源、 事業収入にこだわる必要があるでしょう。

  たしかに大部分のNPO法人には独特の甘えの構造が存在します。ボランティアだから、 介護だから、環境だから、人権だから、平和だから、教育だから・・・許されて当然 という意識です(「NPO法人の税務」田中義幸著 税務経理協会 「まえがき」より)。

 でも、このような甘い考えの上に立った素人集団が法人格を取得してもうまくいくは ずはありません。公益目的というのは「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的」 とするものですが、フツーの会社とちがって営利を目的としないのは「利益の分配をしい」だけのことであって、なにかと縛りの多い補助金などあてにしないで、積極的に 事業を行い、自分たちのやりたい公益目的を達成していく必要があります。

  NPO法人も財務基盤を固めるのが第一とはいいませんが(^^;)、三番目くらいに大事 なことです。かといって、素人集団が突然「収益事業をして自ら稼げ」なんていわれて も困るのも事実です。

 事業を始めるには元手が必要です。今はベンチャーを促進するため「1円株式会社」 なども可能になっていますが、実際に何かを始めようとすると元手(資金)がないこと には始まりません。http://www.1-yen.jp/

  NPO法人の認証には財務的基盤が要件となっていないので「財産目録 0(ゼロ)」 でも認証されますが、やっていけるはずはない。近頃はNPOに対する融資もある ので、自己資金がないときは借入をしてでもスタートしようという意気込みと<楽 観的な見込み>でない確実な収入源(認証にあたっては2年分の事業計画書と事業 収支予算書が必要)が必要不可欠です。

 これらを達成することが難しい団体は法人格取得など下手に思いつかないことです(自戒を込めて(^^;))。

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