消費者がかわらなきゃ!!

No58 元から断たなきゃダメ 〜自動車業界における企業の責任・ユーザの責任〜2004・7・14

       

 市民レベルでどんなにリデュース、リユース、リサイクルを進めても限界があります。

  製品を製造する段階で例えばプラスチックなどの化石燃料製品を使わない、分解して リユースしやすい製品に変える、などの企業レベルでの努力が必要です。 「元から断たなきゃダメ」です。

 「自動車を元から断つ」というのはユーザが車を使わないようにすることかな? 確かに地球上から車がなくなったら、環境に優しいことは間違いない。 でもそのような発想は文明や技術を否定することになるし、いまさら牛馬を使えなんて 非現実的なことは言いたくないですよね。

 車社会を前提にしたリデュースというのは燃費とパーツ(って言うのかな?車体のこ とです)の両面で環境負荷を減らすこと。環境負荷の少ない車を長く使うこと、上手な 利用方法をすることだと思います。

 上手な利用方法としては公共交通機関と車をうまく利用する「パーク&ライド」や何 人かで車を共有使用する「カーシェアリング」などが考えられます。

  「リユース、リサイクル面で環境負荷の少ない車」ということは廃車になった車の部品を できるだけリユースする、リユースできないものはなるべくリサイクルしていく、とい うことになります。

  車を使わないという前提ではなく、うまく車を利用するという意味での「環境にやさ しい自動車使用法」としてこれまでリサイクルが難しかった「フロン類」「エアバッ グ類」「破砕くず」の再資源化を促す法律が「自動車リサイクル法」です。2005年の 1月から施行されます。

 自動車は年間500万台が廃車になるのでゴミの量としてはすごい量です。

  でも現段階で80%まではリサイクルされているそうですから、けっこうリサイクルの優等生です。でも、この80%を95%まで引き上げるのが至難の業。結局、「サーマ ルリサイクル=熱回収」も条件付きで利用するようです。

 サーマルリサイクルまでリサイクル率にカウントしてリサイクル率を引き上げるのが いいのか、サーマルはリサイクルに含めないとの方針でリサイクル率は若干低いままが 望ましいのか、どっちがいいのでしょう??

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 サーマルリサイクル論争はさておき、ユーザに負担を求める「自動車リサイクル制 度」の概要が決まったのですね。

 当初リサイクル料金は2万円程度と試算されていたのですが、メーカー側も低コスト の処理会社の開拓や回収処理網の整備をすすめて費用を圧縮。料金水準は試算より低く なりました。  

 小型車で1万円、普通車で1万5千円前後になります。フロン、エアバッグ、破砕ク ズ(=シュレッダーダスト)の3品目のリサイクルのためにこれだけのリサイクル料金 を新車購入時、または次回の車検時に負担することになります。

 フロンってオゾン層を破壊するのですよね。現在もフロン回収・破壊法に基づいてフ ロン処理料金が別途、徴収されているんですね。 http://www.honda.co.jp/news/2002/c020719.html http://www.suzuki.co.jp/cpd/koho_j/kankyo/flon.html

 フロン回収業者に1550円程度支払うそうですが、一番いいのはフロンを使わないカーエ アコンを開発することでしょうね。

で、実際に開発されているのですね。頼もしい〜。
http://www.jason-web.org/news/letter/no48/no48-7.html http://www.ecology.or.jp/w-topics/wtp24-0212.html

エアバッグは解体作業がしやすいものに変えるのがベターです。エアバッグの解体作業 を容易にすること。解体されたしエアバッグがリサイクルされやすいような技術の開発 などが求められていると思います。

さすがにトヨタ関連企業ではそのような試みがされているようです。
http://www.toyoda-gosei.co.jp/kigyou/kankyou/2003/pdf/2003_16-18.pdf

  3つ目の破砕くず(=シュレッダーダスト)が一番面倒です。シートの樹脂だのガラス だの解体した後、最後の最後の残り物です。これまでは埋立処理がされてきました。

 悪名高き豊島の産廃もかなりの量のシュレッダーダストが含まれていました。 この問題は最終処分場の不足問題ともからんできますが、、、、 シュレッダーダストのリサイクル費用<埋立処理費用
  となると一気にリサイクルが進むのでしょうが、ごった煮の破砕クズの処理は難し いでしょうから、ついつい簡単なサーマルリサイクルに走ってしまうのでしょう。

 ですから、必要なことは破砕くずが発生しにくい車体の開発でしょう。

  このように自動車部品がリユース・リサイクル容易化設計にかわったとしても、現在処 理しているの10年前に作られた自動車の処理です。当然、タイムラグがあります。

 リサイクル率95%の目標年は2015年です。そして「自動車リサイクル制度」は 来年から施行されるのですからめざす目標はちょうど10年後です。なんとかタイムラ グを補うように「リサイクルしやすい部品、破砕クズがでにくい車体の開発」が進むこ とを期待したいものです(頑張れ、ニッポンの自動車産業!!)。

    
 
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