消費者がかわらなきゃ!!

No59 公益ってなに?非営利法人制度改革(2) 〜課税方法はどうかわるか?〜 2004・7・16

 
      <復元された朱雀門> 

 大和は国のまほろば 畳づく青垣 山籠れる大和しうるはし
と古事記に謳われる古都奈良が好きになった、にわか『まほろば』愛好者(「まほろ ば」とは優れた場所という意味だそうです。

 現在だと霊地・聖地のような意味合いです) としては、「法隆寺再建の時期に関する100年論争、再燃か」という今朝の新聞記事は 面白かったです。http://www.asahi.com/culture/update/0716/001.html

  670年に焼失する前の法隆寺は「若草伽藍」、現在の地に再建されたのは「西院伽藍」。 誰のネーミングでしょう?2000年前の西域の都市国家・楼蘭の如く「まほろばのロマン」 そのものの名前ですね。

  そもそも、法隆寺・中門の謎を「聖徳太子の怨霊を封じ込めるため」と捉えるミス テリー仕立ての読み物(論文ではない。賛否両論があるようですが、それでもよく売 れてるみたいです)梅原猛の「隠された十字架 法隆寺論」を読んでいっぺんに法隆寺が好きになったのだから単純このうえもないのですが^^;。

 引退後は人文科学をもっと勉強したものです。文学とか歴史とかはロマンがあります。 その点、実社会の学問である社会科学ってロマンとはほど遠い気がします。 でも、それが「飯のタネ」だから勉強しないわけにはいかないのがつらいところで。。。

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  さて、本題。 NPOも中間法人も含めた公益法人等はすべて「非営利法人」にして原則課税とする 制度改革(公益法人制度改革に関する有識者会議)が進められています。

  http://www.gyoukaku.go.jp/jimukyoku/koueki-bappon/yushiki/contents-yushiki.html http://www.kohokyo.or.jp/non-profit/seidokaikaku/index01.html  

 現在の制度では、民法34条に基づく公益法人、宗教法人、社会福祉法人、学校法人、 NPO法人がばらばらに存在しています。これらは公益性があるということで原則非課税です。

 一方、2002年4月に施行された中間法人は普通の会社と同じように全事業収入 が課税されています。  

 これを全部ひっくるめて「非営利法人」にして原則課税にしようという現在すすめられている制度改革は一体どうなるのでしょ うか。 現在のところNPO法人の扱いについては触れていません。たぶん、最初はNPOを 含めないで制度改革をする。 そして、新制度ができて数年してからNPOも非営利法人に含める方針なのだろうと (NPO法人側では)反発しています(「さわやか福祉財団」堀田力弁護士の談)。

 改革案では「準則主義」といって登記だけで簡単に非営利法人を設立できるようにし ます(現行制度ではこの壁が高い)。 そのかわり「一般非営利法人」は寄付金も会費収入も含めて法人税が課税されます。 そして、公益性があると認定された非営利法人だけが、寄付金や会費収入への課税が 免除されるという2階建てにするつもりのようです。

  非営利法人改革というのは、「アメとムチ」(設立を簡単にするが、課税強化する) といいながら、本音の狙いは税制上保護されすぎている宗教法人や社会福祉法人、社 団法人等の課税強化であることは間違いありません。

  詳細を書くのは省略しますが、四国88ヶ所のお寺を含めた宗教法人(もっと大きい 宗教法人○○○会などの蓄財はすごい、だろうと想像します)などは不動産を含めて 優遇されすぎるほど優遇されています。 京都のお寺は拝観料をとっていますが、あれも非課税でしょう(後日談;あれは拝観料ではなくお布施のような種類のお金だとか)。

 政教分離が問われて いる某宗教法人など、どうしているのでしょう。坊主の世界には税務行政も手を出せ ないのでしょうか。けっこう、宗教って、憲法上の問題もあって議論するのが、タブ ー視されているところがあります。

  そのような不公平な取扱を考えると、「公益法人改革は断行しなければ」と思います。 しかし、非営利法人の中にまだまだ足腰が弱い、そして時代の潮流として求められて いるNPOも含めていいものでしょうか?

 「2階建てにして公益性のある非営利法人は課税を免除する」というのが有識者会議 側の言い訳(?)でしょうが、2階建てにすることは役所の影響力を強めることになり ます。

 現在17,000を超える認証NPO法人が出来ています。そのなかで寄付金等の優遇を受け る認定NPO法人は6月24日現在24団体です。0.1%の特例にすぎません。

  http://www.nta.go.jp/category/npo/04/01.htm 2階建ての非営利法人制度になると「認定NPO法人」と同じような問題が出てきます。

  認定NPO法人になる手続きも、オンブズマンのような行政監視型だと認定のための 事前相談がめんどうくさい、ということもあるようです。「可もなく不可もなく」のよ うな(?)政治色の皆無のNPO法人だと比較的簡単だっとともいわれています(確定 情報ではなく、又聞きです。念のため)。

 「NPOだけ特別扱いにすべし」というわけではありません。

  でも「成熟した市民社会」を充実させるためにはアメリカ並の寄付金控除制度が必要だし、 そのような民意に支えられた寄付金を受ける側にむやみに課税を強化するのも考え物だ と思っています。

    
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