エネルギー政策と京都議定書
No.11 ブッシュ大統領のバレンタインプレゼント
2002年2月14日、バレンタインデーに京都議定書の代替案として地球気候変動戦略を発表しました。詳細は以下の通りです。目標が達成されても2012年の温室効果ガス排出量は90年に比べ30%以上も増えることになります。EUとアメリカは別世界になりました。それどころか、日欧の削減効果を帳消しにし、むしろ、日欧米全体では排出量が増える計算になります。空しい政策です。
米政府の温暖化対策と京都議定書の違い
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米政府の対策 |
京都議定書 |
温暖化ガス削減への基本姿勢 |
経済成長を優先 |
経済成長にかかわらず、総量規制 |
削減目標 |
2012年までに、GDP当たり排出量を18%減らす |
2008〜2012年に、総排出量を1990年比で日本6%、EU8%減らす |
削減手法
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企業の自主努力。省エネなどへの税制優遇。新エネルギー開発促進 |
国際的な排出権取引。欧州では環境税導入や事業所ごとの削減目標設定。日本では企業の自主努力・新エネルギー開発促進 |
目標順守への 強制力 |
罰則は設けず |
未達成国に罰則 |
2002年2月16日付日本経済新聞より
環境担当のEU委員もドイツの環境相も批判しているとの記事のすぐ下に、イギリスでは家庭でのエネルギー消費を2020年までに40%削減すべきとの答申をまとめたとの記事が出ていました。再生可能エネルギーは現在の2.8%から2020年には20%に拡大する方針だそうです。その前提として市場の自由化を促すそうです。環境も競争もという政策です。
アメリカの経済成長至上主義、科学至上主義、一方、環境も競争もというEUの政策。欧米の違いは理屈としては聞いていました。「ふう〜ん」と思ってましたが、いまは「どうして?」って感じです。ともにアングロサクソンが主流で、わたしたちアジア人には理解しがたい親近感があるはずですが、どうしてここまで政策が違うんでしょう。日本が求めるグローバリズム 、これはアメリカ型でしょうか、ヨーロッパ型でしょうか?
歴史家のポール・ケネディ氏の言葉を借りれば、「環境に熱心ではないアメリカは十分豊かでなければも教育水準が高いわけでもない」って結論になります。なのにアメリカを世界一の金持ち国として世界(の大部分)がまねようとしている。アメリカはその価値観を押しつけようとしている。
旧来型の制度が残りまくり、改革はできるだけ遅らせたい日本が、突然アメリカ型経済をグロ−バル・スタンダードとして模倣しようとしてもうまくいくはずがないと思うのは私だけでしょうか。