エネルギー政策と京都議定書

No.14  ほんの3ヶ月でこれだけ変わりました 2002・12・9

 <鳴り物入り(?)というか、大いなる期待が幻想に終わったヨハネスブルクサミットから3ヶ月余りですが、ほんの3ヶ月でも環境がらみの政策はいろいろ変わりました>

@4月の段階では2007年に電力完全自由化方針であったのが、2007年に50`h以上の自由化(62%)に後退した。
業界の巻き返しがあったのかもしれない。


A炭素税の導入を主張していたのは環境省であったのに、経産省がエネルギー税制の改正を決めた。環境省は環境省で温暖化対策税を主張している。

具体的には石油税電源開発促進税を改正するようです。そして現在は非課税の輸入石炭にも課税するようです(微調整のエネルギー税制の改正ですが、それでも私は望ましい方向だと思います)。

B新エネルギーの範疇にも入っていなかったバイオマスに注目が集まるようになった。関係5省(農林水産省・環境省・経済産業省・文部科学省・国土交通省)からバイオマスニッポン総合戦略骨子が発表された。

 バイオマスは国産エネルギーになりうる可能性は秘めていますが、「不確実要素」が多いです。エネルギー効率が低いこともあって経済性追求のためにはいろんな政策が必要です。

「バイオマスの生産→バイオマスの収集→バイオマスの変換→バイオマスの利用」のための戦略の着実な実施というのがバイオマスニッポンの骨子イメージだそうです。 詳細は http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0003015/0/020730biomas.pdf です。

C燃料電池車は実用化という段階であったものが、12月2日についに発売されました。燃料電池車は究極の低公害車と期待されています。排出するのは水だけでCO2や窒素酸化物はゼロです。でも価格は1億円以上だそうで当分はリース使用です。

「第1号は官邸が買う」と公約していたそうで、小泉首相のめるまがにも試乗した感想が書かれていました。

 1億円の車を買う人はまずいないでしょうから、いかにして価格を1/100にするかが問題です。

 燃料電池技術は「日本発プロジェクトX」になる可能性があります。日本のような高コスト体質の国では「付加価値のあるイノベーション」なしにはやっていけないでしょうから、ぜひともこれらの技術を後押しする政策を採って欲しいと思います。

 2000年度の国内CO2排出量は過去最高値を更新しました。すでに1990年レベルの8%増。これから6%削減するためには14%削減が必要です。そろそろ自主的取り組みばかりではなく、実効性のある具体策を示さないと国際公約は果たせなくなってしまいます。

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