エネルギー政策と京都議定書

No. 4   CO26%削減のハードル

 2002826日から開催予定のヨハネスブルク・サミットリオ・プラス10で地球温暖化防止条約・京都議定書が発効予定です。政府は今国会に「京都議定書」批准承認案を提出予定です。しかし、具体的な国内法となるとおぼつかない。

 京都議定書では、日本がCO2をはじめとする温室効果ガスを20082012年までに1990年比で6%減らすことを求めていますが、実際は2000年時点で90年比10%増えています。エネルギー起源のCO2は90年比、±0%、増減ゼロにおさえることにしています。

 政府の地球温暖化対策推進本部は3月19日、地球温暖化対策推進大綱(1998)を改正した改定地球温暖化対策推進大綱を発表しました。従来の大綱の政策だけでは7300万トン増えてしまうためです。

 「一日一時間テレビ利用を減らす」「ジャーの保温を止める」「家族全員が一日一分シャワーを減らす」「家族が同じ部屋で団らんする」・・・と半分冗談かと思えるような政策、数字の積み上げによって目標を達成する予定のようです

 産業部門に対しては、高性能工業炉の導入、コージェネレーションシステムの導入、太陽電池・燃料電池、ITの活用、ナノテクノロジーの活用によって−7%、主電源のカット、節水、省エネ製品への切り替えによって民生部門は−2%、運輸部門は低公害車の普及、グリーン化税制、高通流対策、2010年燃費基準の早期達成によって運輸部門は17%増をめざしています。

 つまり、運輸−民生−産業=ゼロ という等式をめざしています。でも、産業部門の自主行動計画も、民生部門の「ライフスタイルの変更」も政策的な裏付けはありません。

 CO2は産業界ばかりでなく、われわれの普段の生活、民生部門・運輸部門で排出量の4割を占めています。日常生活を、「こまめな生活」や「ライフスタイルをかえる」方法によって達成できるでしょうか。こまめな人が国民の大部分を占めるとも思えないし(グータラ者の私は絶対できないです)、普段の生活の大部分は無意識でやっていることで日常生活のひとつひとつをいちいち意識してやることは不可能です。

 炭素税でも排出量取引でもグリーン証書でも何でもいいからひとつくらいは具体的な政策−自主的取組、規制的手段以外−を実行してもらいたいものですが、にっちもさっちもいかない状況に陥らないとダメなんでしょうか。無意識でも環境にいい生活をするためにはシステム自体が環境保全型にならないといけないと思います。

<< 前へ ==== 次へ >>

「エネルギー政策と京都議定書」の目次へ戻る