電力自由化政策

No.16 真夏の停電〜東電の電力不足問題〜 2003・5・27

 関東地方では「節電しよう」というテレビコマーシャルが流れているそうです。(エリアが違うので、そういうCMがあるというテレビ報道をみているだけですが・・・)私の住んでいる四国・高松では平成5年くらいに大渇水があって、一日に5時間しか水道が使えない日々が続きました。でも、断水は何とかガマンできるものです。貯めおきができますから。

 ところが停電となると(現代人の)社会生活は完全にマヒしてしまいます。電気の貯めおきはできません。計画停電ならまだしも真夏に突然停電となるとエアコンは使えないし、パソコンに入力中の仕事がパーになるかもしれないし。。。。電気なしでできる仕事って何があるだろうと改めてしまうほどです。

 電力不足の北朝鮮や戦争が終結したばかりのイラクでは停電は日常茶飯事だといいますが、きめ細やかな送電網が張り巡らされ、高品質の電気が常に利用できる状態にある我々日本人は停電には慣れていないので、どう対処すべきか途方にくれそうです。

 この夏に東電管内の電気が足りなくなるかもしれないのは17基ある原発のうちまだ16基が停止したままというのが原因です。原発のトラブル隠しが原因ですから、完全に東電の責任です。一般企業が不祥事を起こすと市場の反発をかい、買い控えがおこります。雪印事件のように企業の存続に関わる事態へと発展することもあります。

 ところが電力会社は大口需要家に対しては部分自由化がされているとはいえ、小口需要家は地域独占のままなので、電力会社を変えるという選択肢はありません。会社側は原発を停めた分を旧式の火力発電所を動かして発電する必要があり、経費がよけいにかかる。利益が減る分、株主・投資家保護がないがしろにされることになります。

 原発への依存度が4割を超えるのですから個別のトラブルではない何かの事故があって全ての原発が止まる事態を想定していたら予測可能であったはずです。でも(たぶんほぼ確実に)全原発の停止という事態は原発が核兵器にでも狙われる事態でも想定しない限り予測していなかったはずです。

 平和な日本における原発の危機管理はせいぜい「地震対策」くらいでしょう。 このように一斉に原発が停止してしまう事態は大規模電源に頼る電力会社の弱点ともいえるし、需要者側に立つと「何が何でも停電は困る」わけですから、やはり、安定して供給できる原発は必要との結論になるかもしれません。

 現状では全需要の4割をまかなう再生可能エネルギー発電も分散型電源の普及も難しいでしょうから、原発なくしては(省エネを考えないで現状のままの)電力需要を賄いきれないことになります。すでに稼働している原発の経済性は悪くないはずですからCO2をほとんど排出しない温暖化のメリットをも考慮して、大いに(放射性廃棄物の問題は心配ではありますが)利用すべきでしょうか??

 でも、原発の寿命はせいぜい40年です。のばしても60年くらい。新規立地はヒジョーに難しい。そうなると原発が稼働しているうちに代替エネルギーの開発を急ぐ必要があります。夢の水素エネルギー社会の到来は近いか、遠いか、キンさん・ギンさんくらい長生きして見届けたいものです(^。^)。

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