電力自由化政策

No.26 原子力はパンドラの箱(4) 〜余剰プルトニウム問題〜2004・6・14

 実はこれまであまり真剣に考えたことがなかったのですが、日本で原子力発電に対 するアレルギーが強いのは原子力は発電という平和利用だけでなく、広島・長崎の 原爆投下に象徴されるような核兵器としての利用が可能だから、というのも大きな 論点だったのですね(考えが足りないもので^^;)。

 日本が核兵器として利用することは1,000%ない、と信じている人の方が割合として は多いと思いますが、アジアのなかには未だに「日本の核武装」を心配している人 たちがいるかもしれないし、原発アレルギー人種のなかにもホンキで心配している 人たちがいるのかもしれません。

 日本の原子力発電所が事故を起こす可能性より朝鮮半島にある原子力発電所の事故 (あるいは故意?)の可能性の方が大きいと思いますし、北朝鮮問題も含めて核を めぐる国際情勢も考える必要がありそうです。

  現在、核兵器保有国(疑惑の国は別として)は米・ロ・英・仏・中・インド・パキ スタンの7ヶ国です。

  米ロは1993年1月、第二次戦略兵器削減条約(START−II)に調印し、2003年ま でに戦略核兵器を3,500発程度に削減することに合意しました。

  2000年9月には米ロは余剰兵器級プルトニウムの管理処分について二国間協定を調 印し、両国がそれぞれ34トン、計68トンの処分に合意。兵器級プルトニウムを核兵 器として再使用できないようにするために、混合酸化物(MOX)燃料として 原子炉で燃焼されます。

  日本は核兵器をもっているわけではありませんが、原子力発電を行っていることか ら「余剰プルトニウム」(核弾頭の解体や使用済み燃料より発生する大量のプルト ニウム) http://contest.thinkquest.jp/tqj1999/20159/zisyo.html#yozyo が出てきます。

  東海再処理工場や英仏委託再処理からの返還分で30トン以上、これに六ヶ所村 再処理上場分を足すと38トンの抽出済みプルトニウムがあるそうです。プルト ニウムは8`で原爆1個をつくることができるそうですから、放置しておけない ということになります。

  そして、この「余剰プルトニウム」について日本は、1977年の日米再処理交渉以来、 「『余剰プルトニウム』を持たない」との方針を示しています。

  この国際公約を守るため、原爆数千個分のプルトニウムを放置するわけにはいか ない→(ゆえに)プルサーマルなどの核燃料サイクル利用によって「余剰プルト ニウム」をなくする。という論調でプルサーマルの必要性が某新聞に書かれてい ましたが、正しい理解なのでしょうか?

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 そもそも「余剰プルトニウム」という用語はIAEA(国際原子力機関)憲章で使われ ている専門用語で、通常は平和利用目的の核物質としての余剰プルトニウムを意味 しているそうです。ですが、何をもって「余剰」とみなすかはあいまいなままです。

 そして、「余剰プルトニウムを持たない」というのは条約で決まった国際公約では なく、日本の自発的な政策表明にすぎません。某新聞の論調はおかしい気がします。

  「使用目的がない」ことを「余剰プルトニウム」の定義とすると、核燃料サイクル http://contest.thinkquest.jp/tqj1999/20159/cycle.html として使う(リッパな?)目的がある日本では「余剰プルトニウム」は存在しない。

  そして、この目的を達成するためにどんなにお金がかかっても核燃料サイクルを すすめる必要がある、ということになります。

  でも「余剰プルトニウム」を持たないようにする方法は核燃料サイクルだけでし ょうか?再処理せずに直接処分する方式もあるはずです。

  「余剰プルトニウム」をもたないという自発的な政策表明を守るために、(最低) 19兆円をかけて核燃料サイクルをなにがなんでも押し進めるというのは(理解可 能な)理由づけにはならないような気がしますが。。。。

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