電力自由化政策
No.27 原子力はパンドラの箱(5) 〜日本にエネルギー政策がない理由〜2004・6・21
なんども原子力について書いたので、原発反対派のように思われるかもしれませんが、 ワタクシは決して原発反対派ではありませんので(^。^)。
これまでダラダラと4回も書いてきたのは、従来の国策民営路線が限界にきている今 こそ、いいかげん原子力を聖域(あるいは厄介者?)扱いしないで、堂々と国会で議 論してもらいたい、からです(ワタシがここでいっても「野良犬の遠吠え」状態なの が情けないけど・・・)。
自民党は「原発推進は国策」と決めているので、あえて国会で議論する必要はないと の立場でしょう。国策である原発を税金をつかって(「電源三法交付金」など隠れた税 金は別として)推進しているのではなくて、「民間電力会社が政府の方針に沿って実施 しているのだから、あえて国会で議論する必要はない」「政府は方針を示すだけ」とい う建前になるのでしょう。
日本にエネルギー政策がない理由は「国策民営路線」をとって、経済産業省は電力会 社にちょっかいを出す。逆に電力会社側は国策を実施することによって種々のメリット を享受してきたという「もたれあい体制」にあるのでしょう。
(本音では電力会社もバックエンドをやめたい。めんどうな原子力をこれ以上増やしたくないのかもしれないけど、株主総会で東電の社長がいっていたように「今更、やめるとはいえない」状態でしょうね。)
でも、「規制緩和による自 由化路線」と「多額の初期投資額と長いタイムリードの必要な原子力」が両立できなく なってきている今、この路線は分岐点にきているのでしょう。
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今日(6月21日)、原子力委員会 新計画策定会議(第1回)が開催されたのですね。 そして、「新たな原子力長期計画の策定について」では、『高速増殖炉とその核燃料サイ
クル技術等、原子力エネルギー利用にかかる研究開発のあり方』も検討の視点に入って います。 http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/kaisai/new5.htm
核燃料サイクルの是非についても9月末までの3ヶ月あまりで結論を出す方針だそう です。で、今日の日経新聞にはプルトニウムを再利用する核燃料サイクルにかかる費用は 18.8兆円、再利用しないで使用済み核燃料を埋める直接処分(ワンススルー)にかかる 費用は15兆円という試算が出ていました。
金額の根拠、妥当性についてはこれから議論していく必要がありそうですが、「19 兆円 vs 15兆円」を大差がないとみるか、やっぱり、ワンススルーの方が安い、とみ るか意見が分かれるところでしょう。
核燃料サイクルのメリット・デメリット、直接埋設処分のメリット・デメリットをあ げて検討する必要がありそうです。
<核燃料サイクル>
・メリット
@自前のエネルギー源の確保(エネルギーの安全保障)
Aウランの残存期間を伸ばす(270年が、再処理をすると300年になる)
・デメリット
@経済的にペイしない
A再処理費用の一部は電気料金に上乗せされる
<直接埋設処分>
・メリット
@核燃料サイクルよりは(若干)安い。
A再処理の工程より簡単?
・デメリット
@使用済み燃料を埋設する場所がみつかるのかしら?
Aどんなに深いところに埋めても長期間の放射能管理に危険が伴う? ・・
・以上は素人が考えたことなので自信はありませんのであしからず。
「自由化政策のもとでの原子力政策」は多くの利害関係者(というより電気を利用せざる をえない消費者の立場を参考意見としてではなく、一ステイクホールダーとして)の意見を聞いて、国会で議論してもらいたい。
なんなら、国民投票をして民意を聞くのが面白いでしょうけど、制度的に無理でしょうね。