電力自由化政策
No.4 原子力の未来
原子力の未来は暗そうです。アメリカはスリーマイル島での事故以来、新規立地はなし。スウェーデンやドイツ、デンマークは廃止の方向。EU諸国で唯一推進しているのはフランスくらいでしょうか。フランスでも電力供給量は十分なので新規立地は当分なしです。
日本はCO2削減のため新規立地20基なんて政策を立ててましたが、実現は難しそうなので2001年6月の「エネルギー需給見通し」では10〜13基に下方修正しました。2010年までの実際の新規立地計画のうち2004年の浜岡5号、2005年の東通1号、志賀2号までは着工済み、でもあとは不明です。
私は個人的に原子力発電所のすぐ隣の出身です。中学生だった頃、原発立地がもちあがって随分反対運動がありした。現地の中学校全員の登校拒否なんてことまであったのです。もっとも中学生自身はなんのことだか解らなかったでしょうが・・。
原子力反対運動をするなら非効率な裁判闘争や「ダイ・イン」なんてことをやらないで電力自由化推進運動をすればいいのにって思います。経済産業省は国策として原子力を推進ながら、一方で、自由化を推進しています。
でも、新規立地に4000億円もかかる原子力と効率を重視する自由化政策とは両立不可能です。原子力の発電単価は安いと言い続けてきましたがこれは「原価計算方法に問題あり」、そのうえ電源開発促進対策特別会計から2000億円以上をつぎこんで維持しているのですから。
実際に電気事業連合会は自由化拡大に価格競争で不利な原子力発電支援を国に要請することにしています(2002年1月11日付朝日新聞)。電力市場が完全自由化されると初期投資のかさむ原発の新規立地費用、使用済み核燃料の再処理コストなどを民間株式会社にだけ押しつけるわけにはいかなくなるでしょう。
要はそこまでして原子力を維持する必要があるか否かにかかっているのでしょう。いまや原子力は日陰者扱いで、国会でも議論するのはタブーのようです。行政だけが推進しているのでしょうか。
原子力の技術維持、何の資源もない日本の唯一の国産資源といわれれば、それなりに必要かなぁとも思いますが、1万年以上も管理しなければならない放射性廃棄物の問題を考えるとパブリック・アクセプタンスは難しそうです。