電力自由化政策
No.5 再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、自然エネルギー、新エネルギーと3種類の呼び方をされます。政府は新エネルギーといっています(従来の政府の定義では「小規模水力」と「バイオマス」は含まれていませんでした)。世界的には再生可能エネルギーの呼び名の方が多いようです。政府の新エネルギーの定義は@自然エネルギー(太陽光・風力など)、Aリサイクル型エネルギー(廃棄物発電など)、B従来型エネルギーの新しい利用形態(電気自動車、燃料電池)の3つをいいます。EUの再生可能エネルギーの定義では大規模水力を含んでいます。
日本は太陽光の普及は世界一ですが、発電単価が80円もするのでこの差額を補うシステムをつくらないと目標とする数値達成は難しい状態です。爆発的に伸びているようにみえる風力は2001年現在で262基、15万`hにすぎません。立地可能性があるのは500万`h前後、「需給見通し」の2010年の目標は300万`hです。ただ、日本の風力は利用できる地域が北日本に限られることから、洋上発電が開発されないと100万`h程度が限界との見方もあります。ちなみに世界一はドイツ、800万`hです。これは再生可能エネルギーの買取制度に支えられての急速な普及でしょう。
バイオマスにいたっては昨年まで政府の「新エネルギー」の定義に含めてさえもらっていなかった状態です。国土の67%が森林なのにその荒廃が懸念されている林業の現状打開のためにもバイオマスの普及が必要です。
原子力を推進する政府側は「再生可能エネルギーには安定性がない」「送電網の周波数と電圧の安定を乱す」「新エネルギーの普及策は必要だが、どんなに普及策をとっても原子力にとってかわることはできない」というスタンスです。
でも、2010年までに自然エネルギーで全エネルギーの10%を賄えるとしたらこれに水力と地熱を加えると15%弱のエネルギーを供給できることになります。原発の比率は14%なので主要エネルギーの一つになりえます。自然エネルギーで10%というのは経済産業省が推定した実際的潜在量の上限とほぼ一致します。
将来のエネルギーをめぐっては、いろんな試算が出されていますが、これらの数値は前提や条件がかわると数値も異なってきます。再生可能エネルギー普及の必要性は誰もが認めています。机上の計算で限界を出すのではなく、可能な限り、普及のための政策を実施するのが先決でしょう。