電力自由化政策
No.9 グリーン電力市場
欧米では電力会社自らが、再生可能電源がもつ環境調和という付加価値を積極的に押し出し、需要家に価格的には高メニューを提供するグリーン電力制度が普及しつつあるそうです。http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/foreigninfo/html9911/11142.html
供給エリア |
供給事業者及び代替供給事業者 |
セント/kWh |
Allegheny Power |
Allegheny
Power(比較価格) Dominion
People Plus(100%再生エネ) Green Mountain
Energy(50%再生エネ) Green Mountaion
Energy(100%再生エネ) |
3.254
6.50
6.10
6.49 |
Penn Power |
Penn Power(比較価格) Allegheny
Power Dominion
People Plus(100%再生エネ) Green Mountain
Energy(50%再生エネ) Green Mountain
Energy(100%再生エネ) New Power
Cpmpany |
使用量等によって変動
7.00
6.50
6.10
6.49
6.40 |
ペンシルベニア州比較価格より一部抜粋(IEEJ:2001年8月掲載)
2001年度住宅用各社比較価格及び代替供給事業者提供価格(2001年6月1日現在)
グリーン電力は1993年頃から米国の一部で始まり、欧州では1996年にオランダで初めて採用されました。普及レベルはそれほど高くありませんが、需要家の数パーセントは割増料金を払ってもグリーン電力を購入しています。グリーン電力が普及するためには普通の家庭でも電力が選べることが前提です。そして、その普及のためにはプレミアム額が大きくないことが必要です。
約半分の州で自由化が行われている米国ではグリーン電力の普及度合いは州によってちがいますが、一般電力との価格差が小さいほどグリーン電力の普及度合いが大きくなっています。グリーン電力は既存の電気事業者によって提供される場合も、新規参入した電力小売供給事業者によって供給される場合もあります。
これが日本に導入されるとしたらどのような制度になるでしょうか。個人がグリーン電力を購入できるようにするためには、電力市場が完全自由化されることが前提です。そして、価格差を小さくするためにの財政メカニズムが必要でしょう。
そして、企業もグリーン電力を購入するようなインセンティブを作らないと個人の力だけでは限界があります。そのためには企業がグリーン電力を購入した分はCO2排出削減量にカウントできる制度が望ましいと思います。
すなわち、排出量取引と連動させる必要があると思います。エネルギー多消費型産業がグリーン電力制度への協力によって得た証明書を国際的な排出量取引に利用できるようにすると、企業は追加的な負担を軽減できます。
イギリスでは下図に示すような排出権取引とグリーン証書、気候変動税を組み合わせた制度を構築中です。グリーン証書取引で、各供給事業者が義務量を上回る成果を達成した場合は、その超過分をCO2相当量に換算し、それを排出権取引制度の下で販売可能としています。まだまだ制度として不完全なところが多いのですが、ドイツにしてもイギリスにしても北欧にしても「すごい」と思うのはまずやってみる精神です。日本の政策に一番欠けているところで、その矛盾が露呈しているのが現在の経済だと思います。
英国の排出権取引の概要"Framework for the UK Emissions Trading
Scheme"
(IEEJ国際動向:2001年9月掲載、日経エコロジー2001年9月号より)