分散型エネルギー普及策

No.15 バイオマスの可能性 2004・2・18

  「バイオマス・ニッポン 総合戦略」が閣議決定されたのは2002年12月27日 のことなので、もう1年以上が経過したことになります。少しは進展があったので しょうか?

  そもそもバイオマスエネルギーとは(なんて今更、定義をいってるようでは普及は おぼつかないけど)・・・・化石燃料を除く動植物由来の有機物でエネルギー源と して利用可能なものです(新エネ法施行令)。具体的には製材工場の残材、建設廃 材、間伐材、下水汚泥、家畜排泄物、食品廃棄物、紙、製紙工場の黒液などです。

  たとえば剪定木などの植物の場合、燃やすと生じるCO2は大気から取り込んだものな ので京都議定書では排出量にカウントされません。本当にCO2が出ないわけではない のですが、「カーボン・ニュートラル」(CO2は出ない)という取り決めになってい るそうです。

 というわけで温暖化防止策に役立つと期待されています。 実際にどのようにしてバイオマスを利用するかというと、

@直接燃焼、
A生物化学的変換、
B熱化学的変換 があります。

  @の具体例としてチップ化、ペレット化してボイラーで燃焼するという方法があります。

 「環境首都」をめざしている岩手県は木質バイオマスに力を入れています。岩手 版ペレットストーブを民間と共同開発、2004年冬から量産をめざしています。確かに 石炭や灯油を燃やすストーブに比べて清潔ですが、まだまだ高いです。昨年1月にみ たカナダ産のペレットストーブは35万円程度の値段でした。

  Aの具体例として発酵技術等によってメタン、エタノール、水素等を生成して燃料と して利用する方法があります。アメリカやブラジル、そしてカナダなどではとうもろ こしから大量のエタノールを製造し、ガソリンに混入しています。木質バイオマス系 のエタノールやメタノール、「バイオアルコール」が安定供給されれば、石油代替エ ネルギーとして用途が広がることになります。

  Bの具体例は高温、高圧プロセス等によるガス化、エステル化、スラリー化で燃料を 生成する方法です。BDF(バイオディーゼルフェル)として廃食油をディーゼルの 代わりに使う方法もこれに該当するようです。

  というように、日本には未利用のバイオマスが大量にあるのですから、これらを利用 すると化石燃料に頼らないですむ国産エネルギーになりそうですが、難点は@高コス トであることとA小規模分散型設備の場合、スケールメリットによる高効率化・低コ スト化が難しい点です。

  どう考えてもバイオマスは化石燃料より高そうですし、バイオマスは広く薄く存在しているので収集に手間暇がかかるという難点があります。 バイオマスが普及しているスウェーデンなど北欧の例がよく引き合いに出されます。

 北欧は炭素税を導入しているので化石燃料を利用するよりバイオマスを利用する方が 安上がりなのです。

  環境を何も考えていないようにみえるブッシュ政権でも「バイオマスを増やせば石油 輸入が半減し、エネルギー安全保障に役だつ」と2010年までに利用量を3倍にす る計画を持っています。 「バイオマス・ニッポン」を普及させるための優遇政策として補助金政策しか浮かば ないようではガソリンに混ぜるエタノールにしろ、ディーゼルに混ぜる(代替する) バイオディーゼルにせよ普及はおぼつかないといえます。ましてNEDOの助成金を受 けても償却するのに数十年もかかるバイオガス発電など利益を生むどころかリスク覚 悟の参入となってしまいます。

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  香川木質バイオマス研究会というNPOがあります。メンバーでありながら詳細はよく わからないのですが(^^;)、参加すると面白いこともあるので時々定例会に出席してい ます。NPOや市民団体は主婦や退職した人が中心のところが多いのですが、このグル ープは中小企業の人なども多く、運営面はめちゃくちゃ(会費も取らないで主要メン バーが立て替え払いをして大赤字状態*_*)でも、何かできるんじゃないかな〜って期 待しています。

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