分散型エネルギー普及策
No.4 再生可能エネルギー導入基準制度( RPS)
経済産業省が2003年度から義務づける予定の再生可能エネルギー導入基準(RPS;Renewable Portfolio Standard)。難しい言葉ですが、グリーン証書制度とも呼ばれます。仕組みは以下の通りです。
電力会社に再生可能エネルギーの一定量の購入を義務づけ、過不足分を証書取引する制度です。認定された再生可能エネルギー電源から発電した電力は通常の商用電力と同じ価格で取引され、実質的な発電コストとの差がクレジット価格になります。
経済産業省案では、対象となる再生可能エネルギーは風力・太陽光・廃棄物・バイオマス・中小水力・地熱発電です(風力より安い廃棄物を含めているのでゴミ発電促進法だと批判されています)。
義務量は、まず、0.3%程度で始め、2010年度に1%強まで段階的に増やす予定だそうです。ただし、新エネルギー部会でも反対意見があるし、買取制度の導入をめざす市民団体からの反対もあるので流動的です。
イギリスではグリーン証書と気候変動税と政府との協定、そのうえ、排出量取引を組み合わせた制度が試行錯誤しつつも、始まろうとしています。2002年4月開始予定です。
英国の排出権取引の概要"Framework for the UK Emissions Trading Scheme"
(IEEJ国際動向:2001年9月掲載、日経エコロジー2001年9月号より)
イギリスは2010年にCO2を90年比20%削減する目標を設定しています。だから、京都議定書の数値目標を上回る削減ができそうなので、排出量取引によってCO2で儲けようと考えているのかもしれません。けっこうなインセンティブだと思います。
イギリスでは、クォータ制といってエネルギー供給業者に10%を再生可能エネルギーにすることが義務づけられました。そのうえで、グリーン証書取引を導入します。再生可能エネルギーに対しては気候変動税は課税されません。再生可能エネルギーの方が化石燃料より高いのですから、最終的にはこの費用は電力消費者が負担することになります(電気料金が5%程度上昇する見込みだそうです。100%電力自由化しているイギリスでも競争と環境の両立が可能ってことです)。
義務づけられた以上の再生可能エネルギー供給量を達成できた場合、その上回った量をCO2排出削減量に換算し、排出量取引市場で売ることができる仕組みを予定しています。
再生可能エネルギーは政策によっては日本でも10%までは実現可能なはずです(いろんなシミュレーションがそう語っています)。普及の可能性は国によって(物理的な条件)、政府の政策によっても異なってきます。日本では地熱やバイオマスはほとんど普及がすすんでいませんが、これらをカウントしないと再生可能エネルギー10%の普及は難しい。これらも含めた促進策が望ましいと思います。