分散型エネルギー普及策
No.5 太陽光発電はどこまで進むか?
日本の太陽光発電は世界一の普及だそうです。それでも20万㌔㍗にすぎません。控えめな(?)政府の2010年の導入見通しは482万㌔㍗、現在の23倍です。
ホントは太陽光発電は送電網が張り巡らされていない砂漠の国々にとっての方が一層効果的なのかもしれません。地球は「沙漠」という資源をもっている(SRG研究会監修・柴野利彦著(1997)ダイヤモンド社)という本の中でシルクロード・ジュネシス構想-シルクロードを世界の環境基地に-という夢が描かれていましたが、実現したのでしょうか?太陽光発電所建設によりCO2排出削減につながった分はクリーン開発メカニズムとして日本の削減量にカウントされるのなら、一石二鳥だと思います。
電気の通っていないインドの山岳部で数万円(だけど、現地の人にとっては1年分の年収に相当します)の太陽光パネルを取り付けて初めて電気が通った。初めてテレビを見た。という家族の紹介番組もありました。
500万㌔㍗という目標は現在からみると、遙かな北極星に思えますが、将来の太陽光発電の市場性を見れば、2000万㌔㍗、3000万㌔㍗規模での普及も夢物語ではないそうです。そのための課題はコストです。NEDOが太陽光発電に投じた開発費は2000億円を超えます。そして、2010年でやっと家庭用での電気料金まで到達するかどうかのレベルです。
低コストで製造できるタイプやアモルファス薄膜型太陽電池、電気交換効率をアップさせてコストを低減する各種ハイブリッド化という製造コストを大幅に低減する技術開発が始まっています。日本でも2030年に3000万㌔㍗を目指して普及策をとることも夢ではありません。電力中央研究所の報告にもありましたし、個人的に聞いたこともありますが、太陽光は政府がいうより物理的な普及可能性はもっと高いそうです。
競争によって製造コストは電池モジュールで1㍗100円が目標。業務用で火力発電並みの50円まで下げるのが目標だそうです(なんといっても火力が一番安いのでこれが基準になるんですねぇ)。国内での500万㌔㍗の太陽光を国産で賄おうとすると2007~2008年には生産規模が間に合わなくなりそうです。
将来的には世界の砂漠に太陽電池を設置して、水素を供給する計画が現実に進みつつあります。水素は貯蔵できますので、「新エネルギーは安定性がない」という常套文句もいわせなくなる日がきそうです。
太陽電池製造が新たな雇用につながり、途上国支援につながる、そのうえ、クリーン開発メカニズムによるCO2削減量にカウントされるとなると、一石三鳥です。